2. 風吉の時間 (1967年)

  風吉の時間   風吉の背後に赤い夕焼けがくすぶっている。熱を失った溶鉱炉が、その火照りだけを、空にばらまいているのだ。風吉は、自分の色あせた学生服の背が、この夕日の中でいよいよ白茶けた色になったことを、皮膚で感じた。 … 続きを読む 2. 風吉の時間 (1967年)