累計2,300人!!!

現在スペイン大使館を会場に開催中の「いま、ウナムーノを問う」展、いよいよ今日と明日が最後になりました。今回の展示会の実質的立案者でありその推進役を果たしてきた戸嶋靖昌記念館の執行草舟さん、そしてその学芸員の安倍三﨑さんから入った情報によれば、昨日までの来館者が累計何と2,300人ということです。
 私自身は訪れることはできませんでしたが、本ブログの友人たちやかつての教え子たちが相次いで訪れたことは知ってました。もちろんそれは微々たる人数、だから最終的には1,000人になれば大成功と予想していました。それがその何倍もの来館者に恵まれたのです。
 今日は祝日、そして明日が最終日、この二日間でさらに大勢の人が訪れるでしょうが、これを読まれる東京近辺の皆さん、もしまだ行かれてなかったら、最後のお誘いです、ぜひお友達を誘ってスペイン大使館を訪れてください。この日本でウナムーノの本国スペイン・サラマンカ大学での先行展示会の参観者を超える人数が訪れたとなれば、実に画期的な出来事になります。私の個人的な思いは、もちろんこのスペインの哲人の思想がこの極東日本で認知され再評価され、そして根付くことですが、同時にそれが原発禍の中でなおも迷走を続ける日本への厳しい警鐘でもあることを確信しています。

※ 10月8日午後6時。いま安倍さんから新たな報告がありました。つまり本日は300人以上の来館者があり、これで累計2,700人を超えてサラマンカ大学での来館者総数を超えたそうです。明日はさらに記録を伸ばすことでしょう。もちろん数そのものに喜んでいるわけではなく、この日本にも経済的・物的価値に飽き足らず心的・精神的価値を希求する人が多数存在することの現れで、実に大きな勇気が与えられるということです。

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佐々木 孝 について

佐々木 孝(ささき たかし、1939年8月31日 – 2018年12月20日)は、日本のスペイン思想研究者。北海道帯広市生まれ。2歳から引き揚げまでの5年間を旧満州で暮らす。1961年上智大学外国語学部イスパニア語学科在学中にイエズス会に入会。5年半の修道生活の後、1967年同会を退会、還俗する。同年上智大学文学部哲学科卒業。1971年清泉女子大学講師、助教授を経て、1982年教授となる。1984年常葉学園大学(現・常葉大学)でスペイン語学科の草創に参加。1989年東京純心女子短期大学・東京純心女子大学(現・東京純心大学)教授。その間、講師として専門のスペイン思想、スペイン語を東京外国語大学、駒澤大学、法政大学、早稲田大学などの大学でも教える。2002年、定年を前に退職、病身の妻を伴い福島県原町市(現・南相馬市)に転居。以後16年にわたり、富士貞房(ふじ・ていぼう、fuji-teivo、――スペイン語のfugitivo「逃亡者」にちなむ)の筆名で、専門のスペイン思想研究を通じて確立した人文主義者としての視点から思索をつづったブログ「モノディアロゴス(Monodialogos: ウナムーノの造語で「独対話」の意)」を死の4日前まで書き続けた。担当科目はスペイン思想、人間学、比較文化論、スペイン語など。作家の島尾敏雄は従叔父にあたる。 2018年12月20日、宮城県立がんセンターで死去(享年79)。
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累計2,300人!!! への1件のコメント

  1. 阿部修義 のコメント:

     机上にいつも置いて少しずつ読み続けている『ウナムーノ著作集3 生の悲劇的感情』の先生が訳された「第Ⅸ章 信・望・愛」の中で、ウナムーノはこう言っています。

     「真の愛は苦しみの中にしかない。そしてこの世において、苦しみである愛を選ぶか、あるいは幸福を選ぶしかないのである。愛はわれわれを他のどこにでもなく、まさに愛そのものの幸福に導く。それは不確かな希望の、悲劇的な慰めである。愛が幸福なものとなり、自己に満足してしまうその瞬間から、もはや欲求することがなく、もはや愛でなくなる。満足せる人、幸福な人は愛することがない。彼らは無化と五十歩百歩の習慣の中にまどろんでしまう。慣れる(習慣化する)ことは、すでにして存在しないことの始まりである。人間は苦しみに対する能力を持てば持つほど、あるいはさらに正確に言うなら、より一層苦悩に対する能力を持つとき、それだけ一層人間に、つまり、より一層神的なものになる。」

     戸嶋氏の作品は、苦難の人生によって産み出された「愛」が作品の中に宿っているのを私は感じました。それはまた、ウナムーノの思想が厳然と生きているからなんでしょう。「真の愛は苦しみの中にしかない。」。戸嶋氏が生涯をかけて私たちに伝えたかったことのように私は思います。

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