ここ数日の間に、わがホームページに大変なことが起こっている。地元の若い友人の献身的な協力を得て、既発表の全ての作品・論文に瞬時にアクセスでき、しかも縦書きで読めるようになったことである(作品集はこれからだが)。こうした事態は、コンピュータに関する基本的な知識もない私にとって文字通りの夢だった。でも正直言えば、こちらは苦労して書いた作物を無料で提供するのだから、アクセスに多少の不便があっても贅沢を言ってもらっちゃー困る、くらいに思っていたのである。
しかし現実的に考えるなら、読む方によほどの暇がない限り、延々とスクロールして、目指す作品や論文にたどり着くまでの手間や時間はさすがに「重い」。第一、私自身、友人のホームページを訪問することはあっても、大抵は「掲示板」や「日記」などをそそくさと流し読みするくらいで、それが労作であればあるほど、友人が書いたものをきっちり読むのはやはり「重い」のである。そうであるなら、せめてアクセスの簡略化や時間短縮ぐらいは、最低のマナー、いや親切かも知れない。
それがここに来て、一気に実現することになったのだ。ともかく三歳のときからコンピュータを玩具代りにして育った■■にとって、タグを操作して半端じゃない量のわが作物を新しい電磁空間に配列していくのはさほどの難業じゃないのかも知れない。でも仕組みや理屈がチンプンカンプンな私にとって魔法みたいなものであることには変わりがない。
ゴールデンゲート・ブリッジを見渡せる「インターネット・アーカイブ」代表のブルースター・ケイル氏(43)は、「すべての人智への開かれたアクセス」を実現するため、そして「長すぎる著作権保護の被害者は、我々の子どもたちだ」として、現在アシュクロフト司法長官を相手取って訴訟を起しているらしい。著作権やプライバシーなどきちんと保護さるべきものは保護されなければならないが、しかし行き過ぎた保護は人類全体に対する不正だとするケイル氏の意見ももっともだと思う。
だから(と論理的な整合性はないが)これからも私の書いたものをすべてネットに載せ、できるだけ保管していきたいと思う。次の作業は、珍書も奇書もないし量的にも恥かしいほどの冊数だが、手元にある全ての書籍をリストアップし、必要とあればデータを教えたり貸し出しなどもできるような態勢にもっていくことも考えている。
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