思わぬチュー害

 一昨日、わが家の風呂が故障した。いわゆるエコキュートという全自動の風呂なのだが、湯を張っても湯の入り口からどんどん湯が減っていくのだ。太陽光発電など一括して請け負ってくれた宮城県柴田町のサンヨーヒーテングという会社に電話したが、夜なので誰も出てこない。
 
 昨日、日曜だからまた誰も出ないだろうと思いながら十時ごろ電話すると、女の人が出てきてていねいな応対をしてくれ、業務担当の若い男に取り次いでくれた。この人もまたすこぶるていねいな応対。とりあえず次のような手順で試してください、と電話で指示してくれた。つまり家の外にある本体の小窓を開け、ブレイカーを一度下ろし、十秒後にまた揚げて、そのあといつもの手順でお湯を張ってください、と言う。その通りにしてみたが、やはり湯が減っていく。
 
 再度電話でその結果を報告すると、それでは午後五時ごろ伺うと言う。地図で確かめたわけではないが、多分仙台近くの町だから一時間半は優にかかる。こちらも他の用事を済ませて、その時間を待つと、約束どおり遠路はるばる来てくれた。笑顔を絶やさない若い男で、寒く暗い家の外で車のライトを点けていろいろ調べてくれたが、本体には異常がないが、念のため台所のドアを開けてくれないかと言う。そしてこのデジタル時代にもっともアナログ的な故障の原因が見つかったのである。つまり本体から湯を浴槽に運ぶアクリル(?)製のホースを鼠が食いちぎっていたのだ。湯が溜まらないはずだ。今晩は用具の準備がないので、そこを請け負った業者に至急連絡しますからと言って、現場の写真を何枚か撮って帰っていった。
 
 デジタル制御の機械も鋭利なネズミちゃんの歯には歯が立たないわけだ。それはともかく、感心したのは、その若い男の終始ていねいな物腰である。こちらの心も温かくなる。
 
 そして今日、連絡が入り、年末で作業予定が立て込んでいるので、伺うのは明後日になるがよろしくとのこと。まっシャワーは使えるので、我慢するしかないか。で、修理の際、ネズミ対策を考えてもらえないか、と訊いたが、その種の対応はしたことがないが、なにかホースをくるむものを持っていくことにします、と言う。
 
 今までわが家にいつも猫がいたからこんな問題が起こらなかったわけだ。さてどうしよう。ネットでネズミ駆除の商品を探すと、超音波撃退器なるものがあった。しかしよくよく調べてみると、一向に効かない、とのユーザーの酷評がいくつもあって、あやうく注文しそうだったのを辛うじて踏みとどまった。昔流の猫いらずもあるが、ネズミはものすごく賢いらしく、毒餌を撒いていてもホースを齧らないようにするには役立たないようだ。
 
 そして見つけたのが、ネズミが噛む箇所にトウガラシを主成分とする忌避塗料を塗る方法である。さっそく注文したが、明後日の作業前に届くかどうか。間に合わないときは手や目にかからないよう注意しながら自分で塗らなければならない。値段は送料込みで三千円だが、二年間は効果が持続するらしいので、高くはないだろう。しかしねずみ世界にもゲテモノ好きがいて、トウガラシ大好きなんてやつがいたら、もうお手上げだ。 

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佐々木 孝 について

佐々木孝(ささき・たかし) 1939年北海道帯広市生まれ。2歳から引き揚げまでの5年間を旧満州で暮らす。1961年上智大学外国語学部イスパニア語学科在学中にイエズス会に入会。1962年同学科卒業。5年間の修練生活の後、1967年イエズス会を退会、還俗する。同年上智大学文学部哲学科卒業。1971年清泉女子大学講師、助教授、1982年教授となる。1984年常葉学園大学でスペイン語学科の草創に参加。1989年東京純心女子短期大学・東京純心女子大学(現・東京純心大学)教授。その間、東京外国語大学、駒沢大学、法政大学、早稲田大学などでも非常勤講師を務める。2002年定年を前に退職、病身の妻を伴って父祖の地・相馬(福島県南相馬市)に転居。以後16年にわたり「モノディアロゴス(Monodiálogos: ウナムーノの造語で「独対話」の意)」と題したブログを死の4日前まで書き続けた。担当科目はスペイン思想、人間学、比較文化論、スペイン語など。2018年12月20日、小細胞肺がんのため宮城県立がんセンターにて死去(享年79)。
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