昨年の今ごろは、広島の慰霊祭や今日の終戦記念日をかつてなかったほどの昂揚した(?)意識で迎えたものだが、今年はこの異常気象の中で、なにか盛り上がりにかける死者の月を送っている。しかし今晩のNHKスペシャル「核の時代に生きる人間の記録」を見ていて、やはり今自分たちはとんでもない時代に生きているのだという意識を新たにした。最後の井上ひさしの「記憶し、抗議し、生き延びる」という言葉に共感した。
 ところで今日、叔母の一周忌の法事に参列しながら改めて思ったことだが、それがカトリックのものであれ仏教のものであれ、宗教的な儀式の意味あるいは無意味についてであった。それらを否定するつもりはさらさら無いが、自分はまた別の形で死者たちと共に生きる方法を考えようと思った。とりあえずは、身罷った肉親・親戚・友人・知人たちの命日を、そのためだけのカレンダーに記録すること、そして日々彼らのことを思いつつ生きることである。

佐々木 孝 について

日本のスペイン思想研究者。1939年北海道帯広市生まれ。2歳から引き揚げまでの5年間を旧満州で暮らす。1961年上智大学外国語学部イスパニア語学科在学中にイエズス会に入会。6年間の修道生活の後、1967年同会を退会、還俗する。同年上智大学文学部哲学科卒業。1971年清泉女子大学講師、助教授を経て、1982年教授となる。1984年常葉学園大学(現・常葉大学)でスペイン語学科の草創に参加。1989年東京純心女子短期大学・東京純心女子大学(現・東京純心大学)教授。その間、講師として専門のスペイン思想、スペイン語を東京外国語大学、駒澤大学、法政大学、早稲田大学などの大学でも教える。2002年、定年を前に退職、病身の妻を伴い福島県原町市(現・南相馬市)に転居。以後16年にわたり、富士貞房(ふじ・ていぼう、fuji-teivo、――スペイン語のfugitivo「逃亡者」にちなむ)の筆名で「モノディアロゴス(Monodiálogos: ウナムーノの造語で「独対話」の意)」と題したブログを死の4日前まで書き続けた。担当科目はスペイン思想、人間学、比較文化論、スペイン語など。作家の島尾敏雄は従叔父にあたる。2018年12月20日、宮城県立がんセンターで死去(享年79)。
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