長い間、音信が途絶えていたK氏から今日『モノディアロゴス』の校正刷りが一挙に全部届いた。1ページに二段組でちょうど一日分が入るレイアウトで、タイトルや日にちの処理も申し分なくできている。会話形式や詩のところは三段組となっているが、決して調和を乱していない。
 十月から十本を越える仕事をこなさなければならなかったそうで、『モノディアロゴス』のことを忘れていたわけではないと分かって、ほっとした。もちろん彼が絶対にいい仕事をしてくれることを疑ったことはなかったのだが。
 年末から年始にかけて、大事な宿題が出来たけれど、ぱらぱらと読み直して、これなら出版する価値がある、と自分ながら自信を持った。これが手前味噌でないことを祈るのみ。
 夜、A子から電話。今日、彼と一緒に入籍をすませてきたそうだ。つまり今日から戸籍上、A. SではなくA. Iとなったわけだ。不思議なことに、寂しくも悲しくもなく、心からおめでとう、と言えた。妻もまったく同じ感懐を持ったようだ。今日入籍というのは、もしかしてクリスマスを意識したか。しかし親たちは、昨年同様、静かに二人だけで、そのいわゆるイヴとやらを過ごした。S市からミサを挙げるために兄が来て、バッパさんもありがたそうに夜のミサに出かけて行ったけれど。これって少し変かも知れないが、私たち夫婦にとってはいちばん自然なことなので、仕方ないだろう。

佐々木 孝 について

日本のスペイン思想研究者。1939年北海道帯広市生まれ。2歳から引き揚げまでの5年間を旧満州で暮らす。1961年上智大学外国語学部イスパニア語学科在学中にイエズス会に入会。6年間の修道生活の後、1967年同会を退会、還俗する。同年上智大学文学部哲学科卒業。1971年清泉女子大学講師、助教授を経て、1982年教授となる。1984年常葉学園大学(現・常葉大学)でスペイン語学科の草創に参加。1989年東京純心女子短期大学・東京純心女子大学(現・東京純心大学)教授。その間、講師として専門のスペイン思想、スペイン語を東京外国語大学、駒澤大学、法政大学、早稲田大学などの大学でも教える。2002年、定年を前に退職、病身の妻を伴い福島県原町市(現・南相馬市)に転居。以後16年にわたり、富士貞房(ふじ・ていぼう、fuji-teivo、――スペイン語のfugitivo「逃亡者」にちなむ)の筆名で「モノディアロゴス(Monodiálogos: ウナムーノの造語で「独対話」の意)」と題したブログを死の4日前まで書き続けた。担当科目はスペイン思想、人間学、比較文化論、スペイン語など。作家の島尾敏雄は従叔父にあたる。2018年12月20日、宮城県立がんセンターで死去(享年79)。
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