『近代文学』を創刊した七人の侍のうちの二人までが、相馬にゆかりのある作家であるというのも面白い。もっとも埴谷雄高にしても荒正人にしても、前者は戸籍のみ、後者はただ出生の地だけで(と思う)、島尾敏雄のように幼児期に土地からの深い影響を受けたわけではないが。ところで隣町鹿島の出である荒正人について今までほとんど読んだことがないことが気になりだして、何冊か彼の作品を古本屋に注文していたのが、今日はそのうちの二冊が届いた。『雪どけを越えて』(近代生活社、1957年)と『思想の流れ』(毎日新聞社、1963年)である。あと『小説家』というのが届くはずである。この機会に少し彼のものを読んでみよう。
 ところでそのついでに、ローレンスの『虹』(新潮文庫、下巻)とロウリングスの『仔鹿物語』(新潮文庫、下巻)も注文した。たぶんこれからも読まないかも知れぬ本を購入するのは無駄のような気もするが、上巻だけしかないのがやけに気になりだしたのである。『仔鹿物語』など、上下揃いで買った方が安いのに、それではまた一冊が宙に浮くなどと変な仏心を出して、わざわざ下巻だけを注文するというこだわり(?)潔癖性(?)が自分ながら可笑しくなる。

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佐々木 孝

佐々木 孝 について

佐々木孝(ささき・たかし) 1939年北海道帯広市生まれ。2歳から引き揚げまでの5年間を旧満州で暮らす。1961年上智大学外国語学部イスパニア語学科在学中にイエズス会に入会。1962年同学科卒業。5年間の修練生活の後、1967年イエズス会を退会、還俗する。同年上智大学文学部哲学科卒業。1971年清泉女子大学講師、助教授、1982年教授となる。1984年常葉学園大学でスペイン語学科の草創に参加。1989年東京純心女子短期大学・東京純心女子大学(現・東京純心大学)教授。その間、東京外国語大学、駒沢大学、法政大学、早稲田大学などでも非常勤講師を務める。2002年定年を前に退職、病身の妻を伴って父祖の地・相馬(福島県南相馬市)に転居。以後16年にわたり「モノディアロゴス(Monodiálogos: ウナムーノの造語で「独対話」の意)」と題したブログを死の4日前まで書き続けた。担当科目はスペイン思想、人間学、比較文化論、スペイン語など。2018年12月20日、小細胞肺がんのため宮城県立がんセンターにて死去(享年79)。
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