※鎌倉英也さんから以下のようなお知らせをいただきましたので、ご紹介します。皆様もぜひご覧下さい。
【番組のご案内】
このたび、3月から連休までの間に取材・ロケ・制作して参りました番組が完成し、放送を待つ段階となりましたので、ご案内させていただきます。
【番組名】 こころの時代~宗教・人生~ 「奪われた野にも春は来るか~写真家・鄭周河(チョン・ジュハ)~」(60分番組)
【放送日】 2013年5月12日(日)あさ5:00~6:00 Eテレ(NHK教育テレビジョン)
【再放送】 2013年5月18日(土)ひる13:00~14:00 Eテレ(NHK教育テレビジョン)
【スタッフ】
語り/濱中博久 声(鄭)/中村秀利
撮影/小嶋一行・金丸宗由 音声/鈴木彰浩・金輝珉 照明/芝丕東 車両/小国裕生
翻訳・翻訳協力/李昤京・水谷祥子・朴ミンソン・邢鎭義 編集/鈴木良子 音響効果/日比 題字/齋藤千晴 現地撮影協力/佐々木孝・西内祥久 デスク/成田由美
ディレクター/鎌倉英也 CP/齋藤圭介
【内容】
韓国の写真家・鄭周河(チョン・ジュハ)さん(54歳)は、2011年以来、福島の被災地を撮影し続けてきた。
白髪、長身の身をかがめるようにして写真を撮り続けた「福島通い」は2年にわたる。
鄭さんの写真には、原発事故前もそうだったろう日常の風景、自然や家々がひっそりと写るのみだ。
その風景の中の何が失われ、奪われていったのか。
鄭さんの写真は、「奪われたもの」を直接写すのではなく、むしろ「変わらない風景」が、「奪われたもの」を喚起し、静かに訴え、見る者を深い省察へと導く。
鄭さんの写真展を被災地で開けないか―。写真集を見た人々からそんな願いが起こり、今年、震災2年目を迎えた3月、原発事故被災地の南相馬市で写真展が実現した。
発起人のひとりとなった南相馬市在住の佐々木孝さんは、病身の妻を抱え、人々が避難する中、南相馬にとどまった経験を持つ。
佐々木さんは、鄭さんの写真には、ありのままの「絶望」とそこから生まれる「希望」、住んできた者にとっての「時間」と「記憶」、「根」が写っていると考えている。
鄭さんは、この市民の支えで実現した写真展を、「被災した彼らは、自分の写真に何を感じるのか」という、写真家としての「人生」や「信念」を見つめ直す大きな試練の場と考えた。
学生時代、精神を病んだ人々の施設でボランティアを始めたことから、カメラマンとしての人生をスタートした鄭さんは、「人が目を背ける日常」や「兆候」にカメラを向けてきた。
韓国の日常に潜む原発汚染の実態を静かに写した「不安、火―中」もその作品のひとつである。
その写真家としての人生の途上に、実際に「動かぬ現実」「逃れられない日常」の場となった福島があった。
3・11の原発事故被災地で開かれた韓国人写真家の初めての写真展の様子を伝えるとともに、「見えないものを写す」こととは何か、鄭さんの人生の軌跡を交え、聞いてゆく。
何卒よろしく御笑覧ください。
鎌倉英也(Hideya Kamakura)NHK専任ディレクター 制作局文化福祉番組部
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本日のこころの時代を拝見しました。先生のブログは一年前ころから拝読させて頂いております。お孫さん達も戻ってこられて良かったですね。
写真とは写す人の思いを被写体から写し取るのだということを改めて感じています。何事も同じでしょうが。 群馬県高崎市在住66歳