今日も一日霧雨が降っていた。霧雨は「降る」とは言わないか。「立ち篭める」と言った方が正確かも知れない。
 昼前、珍しくH先生からメールが入っていた。送信者の苗字は確かにHだが、名前の方がMというやさしい平かなの女の人の名前だったので、初めどこかの未知のフアンからかと思ったが、まさかそんなはずはない。パソコンなど大嫌いな先生なので、お嬢さんに打ってもらったか、それともお嬢さんのメール・アドレスを借りてご自分で打ったかされたのであろう。八王子にいたころ、先ごろ亡くなられた牛島さんやこのH先生と待ち合わせて飲むのが楽しみだった。もちろん(?)別々にである。先生のお住まいは遠いのだが、最初の大学を定年で辞められた後、八王子の大学で教えられるようになったからである。あゝ、こうして書いていると、あのころのことが本当に懐かい。牛島さんとは残念ながらもう飲めないが、H先生とはぜひまたお酒を酌み交わしたいものだ。
 いちばんいいのは、ご夫婦で相馬に遊びに来ていただくことだが、本気で考えてもらえないかな。返信メールでそう書いたのだが。
 ところで野馬追いも近くなってきた。今年は今のところだれも見に来る予定はないので、これをご覧のどなたか、今なら部屋が空いてまっせ。どうでっか、祭り見物にいらっしゃいませんか。

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佐々木 孝 について

佐々木 孝(ささき たかし、1939年8月31日 – 2018年12月20日)は、日本のスペイン思想研究者。北海道帯広市生まれ。2歳から引き揚げまでの5年間を旧満州で暮らす。1961年上智大学外国語学部イスパニア語学科在学中にイエズス会に入会。5年半の修道生活の後、1967年同会を退会、還俗する。同年上智大学文学部哲学科卒業。1971年清泉女子大学講師、助教授を経て、1982年教授となる。1984年常葉学園大学(現・常葉大学)でスペイン語学科の草創に参加。1989年東京純心女子短期大学・東京純心女子大学(現・東京純心大学)教授。その間、講師として専門のスペイン思想、スペイン語を東京外国語大学、駒澤大学、法政大学、早稲田大学など他大学でも教える。2002年、定年を前に退職、病身の妻を伴い福島県原町市(現・南相馬市)に転居。以後16年にわたり、富士貞房(ふじ・ていぼう、fuji-teivo、――スペイン語のfugitivo「逃亡者」にちなむ)の筆名で、専門のスペイン思想研究を通じて確立した人文主義者としての視点から思索をつづったブログ「モノディアロゴス(Monodialogos: ウナムーノの造語で「独対話」の意)」を死の4日前まで書き続けた。担当科目はスペイン思想、人間学、比較文化論、スペイン語など。作家の島尾敏雄は従叔父にあたる。 2018年12月20日、死去(享年79)
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