一昨日の「島尾敏雄を読む会」の参加者の一人に、新妻三男という人が書いた『相馬方言考』という本が、もしかすると原町駅前の弘文堂という本屋さんにあるかも知れない、と教えられたので、念のため午後行ってみた。福島県や相馬地方についての本が並べられている書棚を見ていくと、なんとあったではないか。昭和五年初版(謄写刷り、五十部)を改訂したもので(平成十年、第三版)、大判で236ページの軽装本である。値段を見ると、消費税別の3,000 円。この掘り出し物をさっそく購入。
家に帰ってきて、念のため「日本の古本屋」で検索してみると、なんと!同じ改訂版が4,500円と10,500円で出ていた。つまり古本の方が高くなっていたわけだ。ということは、わが町の愛すべき本屋さんは、古い本を古本屋さん以上に大事に新本として商っているということか。
著者の新妻氏は明治35年生まれ(相馬中村)で、地元で長らく教員をしていた人(最後の勤め先は相馬高校)らしい。「相馬弁保存会」の■さんはもちろんこの本のことを知っているだろう。
佐々木 孝 について
佐々木 孝(ささき たかし、1939年8月31日 – 2018年12月20日)は、日本のスペイン思想研究者。北海道帯広市生まれ。2歳から引き揚げまでの5年間を旧満州で暮らす。1961年上智大学外国語学部イスパニア語学科在学中にイエズス会に入会。5年半の修道生活の後、1967年同会を退会、還俗する。同年上智大学文学部哲学科卒業。1971年清泉女子大学講師、助教授を経て、1982年教授となる。1984年常葉学園大学(現・常葉大学)でスペイン語学科の草創に参加。1989年東京純心女子短期大学・東京純心女子大学(現・東京純心大学)教授。その間、講師として専門のスペイン思想、スペイン語を東京外国語大学、駒澤大学、法政大学、早稲田大学など他大学でも教える。2002年、定年を前に退職、病身の妻を伴い福島県原町市(現・南相馬市)に転居。以後16年にわたり、富士貞房(ふじ・ていぼう、fuji-teivo、――スペイン語のfugitivo「逃亡者」にちなむ)の筆名で、専門のスペイン思想研究を通じて確立した人文主義者としての視点から思索をつづったブログ「モノディアロゴス(Monodialogos: ウナムーノの造語で「独対話」の意)」を死の4日前まで書き続けた。担当科目はスペイン思想、人間学、比較文化論、スペイン語など。作家の島尾敏雄は従叔父にあたる。 2018年12月20日、死去(享年79)