お薦めの番組

昨年、徐京植さんとの対談を企画担当してくださったNHKの鎌倉英也ディレクターから20日ほど前、以下のようなメールをいただきました。お知らせするのはむしろ直前の方がいいのではと思い、氏の新しい番組放映が明日と迫った本日、皆さんにお知らせします。

 常のご無沙汰、申し訳ありません。NHKの鎌倉です。
以下、5月11日に放送された番組が再放送されることになりましたので、ご連絡申し上げます。
NHK-BS1スペシャル「クロスロード・オキナワ ~世界は沖縄をどう見ているか~ 」再放送 6月30日(土)14:00~15:49(前編50分+後編49分/14:50~15:00まで10分間「BSニュース」が入ります)放送波 NHK BS-1チャンネル
 この番組は、担当する予定だったNHKスペシャルの旧「ジャパン・プロジェクト」最終回「沖縄から見つめるジャパン」が東北大震災により番組中止となり、異動などの末、何とかその番組を断ち切らずに制作したいと思ってきましたが、このたび、BS(衛星放送)で99分の枠をいただき、新たな取材や視点も加えて、沖縄本土復帰40年直前の5月11日に放送されたものです。
 5月の本放送の際には、放送3時間前まで制作が続いており、皆様に御連絡する時間的余裕がありませんでした。すみません。幸い、本放送をご覧いただいた視聴者の方々から再放送の希望が数多く寄せられ、時期はかなり遅くなりましたが再放送が実現しましたので、是非御笑覧いただきたくご案内申し上げる次第です。
 「我々は平和憲法の日本に復帰したのではない。日米安保条約の日本に復帰したのだ」―。大田昌秀元沖縄県知事が、私の取材に対し語られた言葉に象徴されるように、本土復帰以後も、沖縄は米軍基地の継続や新設計画にさらされてきました。
 地道に、根強く続けられてきた「小さな」住民たちの抵抗の継続が、今、劇的に変わりつつあるアジア太平洋情勢を受けて、大きく世界を変えようとしています。イラク戦争を終え、中東から、アジア太平洋に、安全保障・外交経済の最重点地域を移すと宣言したアメリカ―。
 アメリカの「失われた10年」の間に、急速に成長した中国の台頭―。アメリカの沖縄兵力削減を危惧し、自国の豪軍基地の使用を申し出るかたちで米軍誘致を提案したオーストラリアの思惑―。
 沖縄海兵隊の移転先となったアメリカ領グアムに暮らす先住民・チャモロ人の「沖縄」への視線―。そして、沖縄の米軍兵力削減を補てんする上でも注目される「日米同盟」強化。今、アメリカは、日本の自衛隊の防衛力を、共同訓練や基地施設の共同使用の道を推し進めて高め、東アジアでのプレゼンスを保とうとしています。その「目標」となっているのは、自衛隊が未配備だった沖縄県島嶼部―。北朝鮮「ミサイル」問題で揺れた日本最西端の島・与那国島に、自衛隊沿岸監視部隊の新設計画が持ち上がっています。
 与那国島では今、何が起こっているのか。それは世界における沖縄や、日本の未来をどのように変えようとしているのか―。沖縄を取り巻くアジア太平洋の国や人々が、今、どのような「思惑」と「連帯」を感じながら、沖縄を見つめているのだろうか。
 取材期間はわずかでしたが、多角度から、世界の中の「オキナワ」を見つめようと考えました。ここに、アメリカ、オーストラリア、中国、グアム、与那国島、そして沖縄本島で出会い、ご協力・ご出演してくださった皆様に感謝申し上げます。さらに、多大な支援とご協力をいただいた沖縄放送局、報道局国際部、ワシントン支局、シドニー支局、中国総局(北京)の皆様にもこの場を借りて心よりお礼申し上げます。       

鎌倉英也(Hideya Kamakura)NHK 専任ディレクター
衛星放送センター 特集・開発事務局

※追記 貞房より鎌倉氏への今日のメールの結びの言葉
…ともあれ脱原発・脱基地は私にとってはまったく同じ文脈のことと思ってます。日本だけでなく世界にも少しでもその思いが伝わっていって欲しいと心から願ってます。鎌倉さん、これからも頑張ってください、私も老骨に鞭を入れます。

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佐々木 孝 について

佐々木 孝(ささき たかし、1939年8月31日 – 2018年12月20日)は、日本のスペイン思想研究者。北海道帯広市生まれ。2歳から引き揚げまでの5年間を旧満州で暮らす。1961年上智大学外国語学部イスパニア語学科在学中にイエズス会に入会。5年半の修道生活の後、1967年同会を退会、還俗する。同年上智大学文学部哲学科卒業。1971年清泉女子大学講師、助教授を経て、1982年教授となる。1984年常葉学園大学(現・常葉大学)でスペイン語学科の草創に参加。1989年東京純心女子短期大学・東京純心女子大学(現・東京純心大学)教授。その間、講師として専門のスペイン思想、スペイン語を東京外国語大学、駒澤大学、法政大学、早稲田大学などの大学でも教える。2002年、定年を前に退職、病身の妻を伴い福島県原町市(現・南相馬市)に転居。以後16年にわたり、富士貞房(ふじ・ていぼう、fuji-teivo、――スペイン語のfugitivo「逃亡者」にちなむ)の筆名で、専門のスペイン思想研究を通じて確立した人文主義者としての視点から思索をつづったブログ「モノディアロゴス(Monodialogos: ウナムーノの造語で「独対話」の意)」を死の4日前まで書き続けた。担当科目はスペイン思想、人間学、比較文化論、スペイン語など。作家の島尾敏雄は従叔父にあたる。 2018年12月20日、宮城県立がんセンターで死去(享年79)。
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お薦めの番組 への1件のコメント

  1. 阿部修義 のコメント:

     先生が出演された「こころの時代」の最後に徐京植さんが藤田省三さんの「松に聞け」という文章の最後の言葉を結びの言葉として引用されていました。                                             此の土壇場の危機の時代においては犠牲への鎮魂歌は自らの耳に快適な歌としてではなく、精魂込めた「他者の認識」として現れなければならない。その認識としてのレクイエムのみが辛うじて蘇生への鍵を包蔵している、というべきであろう。                                          先生が「私も老骨に鞭を入れます」と言われた言葉に感動しました。周りにいる私たちは、真摯に、そして謙虚に藤田省三さんの言葉に耳を傾けなければならない。先生の心意気に答えるためにも。

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