★昨夜、ロブレードさんから、今晩スペイン・テレビの第2チャンネルで『原発禍を生きる』スペイン語版の紹介番組が放映されるそうです。日本時間夜8時16分からですので、以下のアドレスにぜひアクセスしてみてください。
http://www.rtve.es/television/la-2-directo/
★★ いま(12日10時)ロブレードさんからメールが届き、放映は最後の段階で延期されたそうです。お騒がせしました、申し訳ありません、日時が決まったら又お知らせします。
根が楽天的な私ですから、こんな良書はもっと本格的に紹介せねば、と考え直したのだ、と思うことにしました。
佐々木 孝 について
佐々木 孝(ささき たかし、1939年8月31日 – 2018年12月20日)は、日本のスペイン思想研究者。北海道帯広市生まれ。2歳から引き揚げまでの5年間を旧満州で暮らす。1961年上智大学外国語学部イスパニア語学科在学中にイエズス会に入会。5年半の修道生活の後、1967年同会を退会、還俗する。同年上智大学文学部哲学科卒業。1971年清泉女子大学講師、助教授を経て、1982年教授となる。1984年常葉学園大学(現・常葉大学)でスペイン語学科の草創に参加。1989年東京純心女子短期大学・東京純心女子大学(現・東京純心大学)教授。その間、講師として専門のスペイン思想、スペイン語を東京外国語大学、駒澤大学、法政大学、早稲田大学など他大学でも教える。2002年、定年を前に退職、病身の妻を伴い福島県原町市(現・南相馬市)に転居。以後16年にわたり、富士貞房(ふじ・ていぼう、fuji-teivo、――スペイン語のfugitivo「逃亡者」にちなむ)の筆名で、専門のスペイン思想研究を通じて確立した人文主義者としての視点から思索をつづったブログ「モノディアロゴス(Monodialogos: ウナムーノの造語で「独対話」の意)」を死の4日前まで書き続けた。担当科目はスペイン思想、人間学、比較文化論、スペイン語など。作家の島尾敏雄は従叔父にあたる。 2018年12月20日、死去(享年79)
スペイン語版『原発禍を生きる』を出版されたことに読者の一人である私は、この本の最初のページ2011年3月10日「無用の心配」が大震災の前の日に書かれたことに非常に意味があり、2001年から執筆されて来られた重みが凝縮されていると感じます。先生はこの「無用の心配」の中でウナムーノの言葉を引用されています。
「ここに残すのは、私の魂なる書物、掛け値なしの私の人間性そして世界だ。もし君が何かに強く心動かされるとしたら、読者よ、君の中で心動かしているのは、この私だ」。
私は、このウナムーノの言葉を大震災の前の日に、何故、先生が引用されたか、いつも不思議に思っています。『原発禍を生きる』を執筆された後に、この言葉を引用されたとしか思えないほど『原発禍を生きる』の最初のページに相応しい言葉だと思います。そして、ウナムーノの生誕の地で出版されたことに、人智を超えた「祈り」のような感慨を私は抱きました。
追記 2001年からと書いてしまって、『モノディアロゴス』は2002年から先生が執筆されたことを訂正しようと思っていたところ、『切り通しの向こう側』の中の「モノダイアローグ」(『青銅時代』第二十二号 1979年)を読んでいて、『モノディアロゴス』の原形としての最初の文章はこれではないかと私は思いました。恐らく、先生が『モノディアロゴス』を執筆されようと構想されたのは1979年からだと思い、1979年からに訂正させていただきます。