受けねらい

たまたま眼にしたテレビの国会中継の映像を通じてでも、安倍首相の正体がバレバレであることがはっきり見えているのに、何故だれもそれを指摘しないのだろう。つまり例の二億ドル贈与についての自分の演説が「称賛された」というセリフだ。「或る一定の評価を得た」くらいで止めておけば良さそうなものを、つい本音を言っちゃった。心理学者や言語分析の専門家に訊くまでもなく、あれ完全な自己顕示欲の表現ですぜ。つまり「受けねらい」です。
 それに戦争状態にある一方に非軍事使用という名目で資金調達しても、相手側にとっては武器供与となんら変わらないものと受取られるのは、これ常識でしょう。これまで絶えずキナくさい修羅場をくぐってきたアメリカなどと肩を並べて自分もマカロニ・ウエスタンの舞台に上りたいのだろうか。上がるなら自分ひとりでどうぞ。なにとぞ国民を巻き込まないでくださいな。ほんと、もう付き合いきれない。といってもあっちはこっちを屁とも思ってないか。でもこれ、歳のせいで少し勢いはありませなんだが、その分ちょっとクセのある臭いイタチの最後っ屁どす。

※追記
 いままで大して実績を挙げなかった首相は数多くいたが、現在の首相のような危険な首相は久しぶりだ(いつから? それは言わぬが花)。ビューロクラシ-の発達した日本のような国では、たとえトップが少々有能でなくとも周囲が何とかカバーしますが、トップが暴走を始めても、それを止められる有徳・有能な部下がいないと、さあ大変ですぞ。(あれっ、さっきのが最後っ屁じゃなかったの?)

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佐々木 孝 について

佐々木 孝(ささき たかし、1939年8月31日 – 2018年12月20日)は、日本のスペイン思想研究者。北海道帯広市生まれ。2歳から引き揚げまでの5年間を旧満州で暮らす。1961年上智大学外国語学部イスパニア語学科在学中にイエズス会に入会。5年半の修道生活の後、1967年同会を退会、還俗する。同年上智大学文学部哲学科卒業。1971年清泉女子大学講師、助教授を経て、1982年教授となる。1984年常葉学園大学(現・常葉大学)でスペイン語学科の草創に参加。1989年東京純心女子短期大学・東京純心女子大学(現・東京純心大学)教授。その間、講師として専門のスペイン思想、スペイン語を東京外国語大学、駒澤大学、法政大学、早稲田大学などの大学でも教える。2002年、定年を前に退職、病身の妻を伴い福島県原町市(現・南相馬市)に転居。以後16年にわたり、富士貞房(ふじ・ていぼう、fuji-teivo、――スペイン語のfugitivo「逃亡者」にちなむ)の筆名で、専門のスペイン思想研究を通じて確立した人文主義者としての視点から思索をつづったブログ「モノディアロゴス(Monodialogos: ウナムーノの造語で「独対話」の意)」を死の4日前まで書き続けた。担当科目はスペイン思想、人間学、比較文化論、スペイン語など。作家の島尾敏雄は従叔父にあたる。 2018年12月20日、宮城県立がんセンターで死去(享年79)。
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受けねらい への1件のコメント

  1. 阿部修義 のコメント:

     安倍首相の言動で私が気になっているのは、事あるごとに「私が最高責任者」ということを頻繁に使っていることなんですが、歴代の首相でそういうことを自ら口にする人は皆無だったと思います。私には「最高権力者」と同じように聞こえます。権力を行使するということは、その責任も自らが命と引き換えに覚悟を持って果たすということですから軽々しく言えないと私は思います。事が順調に推移している時だけ「最高責任者」で、雲行きが怪しくなればいつでも首相の立場を投げ出すような脆さ、危うさを私は感じています。先生が指摘されている「自己顕示欲」を考えると、私には安倍首相の軟弱さの表れのように思えてなりません。現政権自体、世襲議員という温室育ちの寄せ合いですから安倍首相の危険な対応や暴走に進言できる人材はいませんし、仮に進言しても蚊帳の外に追い出されてしまう土壌のように私は感じます。民主党を筆頭に野党の志士たちの結束を期待しています。

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