※これはあの大好きな『銀の匙』の作家・中勘助の同名のお話ではなく、とびきり現代の寓話です。
あるところに大きな、わりと見映えのいい池がありました。でもその池の水は一見きれいに見えましたが、それは見かけだけで、池の底が見えないほど濁ってました。150年ものあいだ(人間世界で言うと明治維新以降)淀んだままでしたから無理もありません。この池を支配する鳥(ちなみにスペイン語で鳥はアベと言います)一族の祖先にはこれまで二人も頭目が出た名門中の名門です。
でもある時、かつて池の防災担当だった部下の大雁またの名をひしくい(漢字では鴻と書きます)がその鳥一族に傾倒する隣りの池の鳥から、一族の未来を担う雀の学校(校舎は籠です)を作るから何かと便宜を図ってくださいとの働きかけを受けました。その際、鳥社会でも禁じられている賄賂を持ってきたので、元防災担当は「無礼者、とっとと帰れ!」と言ったそうですが、そのあまりに芝居じみた説明を聞いて、それは後からの口裏合わせでは、ともっぱらの噂です。でもボス鳥をはじめそのことを必死に隠そうとしています。とんでもない巨額のお金が関係しているので、当然の疑惑です。
そんな折、今度はこの池に隣接する稲田に汚染水が流れ込んでいることが判明し、鳥一族は大慌てです。いよいよヤキが回ってきたのかも知れません。
今日も池にはしきりに動きまわる一族の鳥たちの姿が遠目にも見えますが、そんな時、むかし人間世界で流行った小松政夫の戯れ歌がどこからともなく聞こえてきました。
♫♪ しらけ鳥 飛んでゆく 南の空へ
みじめ みじめ
しらけないで しらけないで しらけたけれど
みじめ みじめ ♫♪
いや~、まいった。腹の底から笑わせていただきました。スペイン思想家による風刺頓智話。一人で楽しんでいるわけにはいかないご時世です。多かれ少なかれ、イライラ、ハラハラしている多くの方たちに、フェイスブックでご紹介させていただきますことお許しください。
うまーく、色々な要素がはまって極上のパロディができましたね。物書きとしての腕前に感服です。私もFacebookでシェアさせていただきました!