戸嶋靖昌記念館からお知らせが届きましたのでご紹介します。私自身は残念ながら上京することはできませんが、お近くの方ぜひご覧ください。
ご存知と思いますが、ウナムーノは本ブログ “モノディアロゴス” の名祖(なおや)です。
・この度、日西外交樹立150周年、サラマンカ大学創立800周年を記念し、駐日スペイン大使館にて「いま、ウナムーノを問う」展を開催いたします。ミゲール・デ・ウナムーノはスペインを代表する思想家、著述家、詩人であり、サラマンカ大学の総長も務めていました。そこでスペインの記念年である本年に、主催:サラマンカ大学、戸嶋靖昌記念館、協力:駐日スペイン大使館、ウナムーノ記念館のもと、記録写真やウナムーノが描いたスケッチ、また日本における著作の受容や翻訳の変遷、サラマンカの街の紹介など、包括的にその人物像を辿ります。また、ウナムーノを愛した画家・戸嶋靖昌の作品もオマージュとして、ウナムーノの言葉と組み合わせて展示いたします。随時お知らせさせて頂きますので、お運び頂けましたら幸いに存じます。
・「いま、ウナムーノを問う」展
場所 駐日スペイン大使館
〒106-0032 東京都港区六本木一丁目 3-29
会期 2018年9月12日(水)-10月9日(火)
月曜日-木曜日 10:00 a.m.-5:00 p.m.
金曜日 10:00 a.m.-4:00 p.m.
土曜日 10:00 a.m.-2:00 p.m.
日曜日および9月17日(月)閉館、入場無料
・問い合せ先 戸嶋靖昌記念館 03-****-****(直)
地下鉄南北線六本木一丁目の出口3番から歩いて五分ぐらい、ホテルオークラ別館の真向かいにスペイン大使館の小さな入口がありました。さりげなく入口の門の横にウナムーノ展の案内が掲げられていました。中に入ると警備員が立っていて手荷物検査があり、そこから白い壁と白い床のなめらかなスロープをくだって地下一階に会場がありました。受付で名前を記帳してウナムーノ関連の立派なB5判80ページ余りの本と「サラマンカの光の中で」というやはり80ページ余りある小雑誌を無料でいただきました。一時間ぐらい絵画とウナムーノの資料を見て帰りました。車で行くのであればオークラ別館に並列されている30台ぐらい止められるコインパーキングがありました。期間中にもう一度行ってみようと思っています。「受難」と題した40号の油彩画が少し気になっています。1974年マドリードと紹介文の最後に書かれてありました。会場の中で学芸員の方だと思いますがこんなことを言われていました。
「果物のカリンをモチーフにしたものがありますが、カリンは果物の中で最も腐りゆく過程が美しい。生命は全ては何れはなくなるが、存在の宿命を描きたい。いづれ死ぬからこそ美しいと戸嶋画家の日記にありました。そして、油彩画だけで800点あるが、すべてにサインをしていない。作品を完成させたくなかったんです。永遠の未完成なのです。」
是非読者の皆さんも行かれてください。私はもう一度行くつもりです。「受難」を観るために。
羨ましいですね! えっ「いま、ウナムーノを問う」も無料でいたけたんですか? 確か定価500円のはずですが。もしかすると案内してくれたのは学芸員の安倍三崎さんで、阿部さんのお名前をブログなどで知ってたので無料でくださったのかも知れませんね。それはともかく今度は「受難」についてぜひ感想など教えてください。
貞房先生
安倍さんではなかったです。本はおそらく皆さんに差し上げていると思います。「受難」の絵の横にこんな説明文が書かれてありました。
人々の信仰
戸嶋は主に肖像画制作に画業を捧げた。深く歴史の刻み込まれた顔、哀しみの滲み出るまなざしが、スペイン通りにはある。「生きる」ことに直面した人間存在を絵画の中で永遠のものとした。それはウナムーノが生と闘いながら求めたものと同じだろう。綺麗さは求めない。いびつでも「生きた」証を描いた。街の人びとは、戸嶋のまなざしを覚えていた。人間を見つめ続けた結果、鋭く、刹那に人の奥底に差しこむ視線であって、「人びとの共通の感情でもって制作」したいと、戸嶋は手記に残している。戸嶋の絵画は、いわゆるスペインらしさ、風物といったものは感じさせない。人びとの名前や社会的地位、性別、人種という記号を剥ぎ取ったあとに残る何ものかを見ていた。「男でも女でもなく、人間を描きたいのだ」と戸嶋は言った。