村上陽一郎先生


「独自の生き方を全うされました」。

 死後、図らずも、あの村上先生からこのような言葉で父が評されたことに、運命的なもの、死を越える劇的な生の展開というものを感じずにはいられない。限りないリスペクトのこもったこの言葉を、父はどんなにか喜んでいることだろう。

 以下、引用。

個人的なことになりますが、一九三二年生まれの桑名氏を除けば、他の三人の訳者にはいずれも面識があります。
寺田氏は一九二八年生まれ。面識どころでなく、学生時代、少壮人類学者、アンデス文化研究の専門家として活躍中であった氏に、大学で初級スペイン語の講義を受けています。神吉氏(「かんき」とお読みします)は一九三二年生まれ。上智大学ではスペイン語およびスペイン美術史の泰斗として、先輩教授でありましたし、佐々木氏は一九三九年生まれ。上智大学では神吉氏の弟子でもあり、一時期イエズス会員として司祭を目指しておられた方で、その後、清泉大学を経て、独自の生き方を全うされました。

ホセ・オルテガ・イ・ガセット『大衆の反逆』書評

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