ラスト・アタック

 テレビ・ドラマなど絶えて見ることなどなかったが、昨夜何気なく(何気に、じゃない!)点けたNHK BSプレミアムの終戦企画ドラマ「ラスト・アタック~引き裂かれた島の記憶」( 21:00 ~ 22:30)を途中から見た。以下はネットに載っていた案内である。

「1945年6月3日、沖縄最北端の離島、伊平屋(いへや)島では、米軍の上陸を受け全島民が降伏した。突然の平和が訪れたこの島には、実は、身を隠した日本の将校がいた。海軍少尉・飯井敏雄、22歳。島民たちとの触れ合いは、飯井の、そして上陸したアメリカ兵の心をも動かしてゆく。敵・味方をこえた何かが生まれようとしたとき、玉音放送後の特攻、「ラスト・アタック」が全てを断ち切ってしまう…」

 ここ二年ほど前から、年齢からくる難聴(と自己診断している)で、まだましな方の左耳にはめた安い補聴器ではセリフが三割がた(見え張って、本当は五割がた)聴き取れなかったが、しかし見事な沖縄の風景に誘われる具合に、とうとう最後まで見てしまった。脚本・演出は上野潤也、出演は大野拓朗,藤本泉,竹中直人だが、米兵役の二人もなかなか良い個性を出していた。いや他のだれよりも主演の大野拓郎の実にシャープな演技力、というより下手に演技しない演技、に感心した。イケメンなどという手垢のついたほめ言葉では尽くせない最近稀にみる美形で目のきれいな俳優だ。

 たぶん実際の島民が多数動員されたと思うが、彼らの粗削りで生の人間像がドラマに迫真性を与えている。結果、芸達者の竹中直人が目立たないほどの濃い人間像が浮き彫りにされていた。

 見逃した方は、私自身はまだ使い方を知らないが、オンデマンドとかの方法で一度ご覧になることをお勧めする。どうやら実在の(もはや故人だが)人物をモデルに作られた筋立てらしく、いわゆる原作者に当たる人はいないようだ。とにかく久しぶりにいいドラマを見た。

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佐々木 孝 について

佐々木 孝(ささき たかし、1939年8月31日 – 2018年12月20日)は、日本のスペイン思想研究者。北海道帯広市生まれ。2歳から引き揚げまでの5年間を旧満州で暮らす。1961年上智大学外国語学部イスパニア語学科在学中にイエズス会に入会。5年半の修道生活の後、1967年同会を退会、還俗する。同年上智大学文学部哲学科卒業。1971年清泉女子大学講師、助教授を経て、1982年教授となる。1984年常葉学園大学(現・常葉大学)でスペイン語学科の草創に参加。1989年東京純心女子短期大学・東京純心女子大学(現・東京純心大学)教授。その間、講師として専門のスペイン思想、スペイン語を東京外国語大学、駒澤大学、法政大学、早稲田大学など他大学でも教える。2002年、定年を前に退職、病身の妻を伴い福島県原町市(現・南相馬市)に転居。以後16年にわたり、富士貞房(ふじ・ていぼう、fuji-teivo、――スペイン語のfugitivo「逃亡者」にちなむ)の筆名で、専門のスペイン思想研究を通じて確立した人文主義者としての視点から思索をつづったブログ「モノディアロゴス(Monodialogos: ウナムーノの造語で「独対話」の意)」を死の4日前まで書き続けた。担当科目はスペイン思想、人間学、比較文化論、スペイン語など。作家の島尾敏雄は従叔父にあたる。 2018年12月20日、死去(享年79)
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