十月一八日付けの朝日新聞によれば、17日、現代中国文壇の最長老で中国作家協会主席の巴金氏が上海市内の病院で死去したという。最近彼の作品を読み始めたばかりで、彼が今もなお生きていたとは正直知らなかったから、いろんな意味で驚いている。ともあれ享年100歳と、まさに大往生である。実際、中国の多くの作家たちと同じくあの文化大革命の大波に翻弄されて長い不遇の時代を耐えてのこの長命には驚かされる。日本の作家にはちょっと真似できないのでは。
彼の随想録を読むと、中島健蔵氏や水上勉氏など日本人作家と深い友情で結ばれていたことを知って感動させられる。国交が回復していない時期から、両国の作家たちが強い信頼関係を持ち続けていたことを、いまどれだけの人が覚えているであろうか。時あたかも小泉純一郎がなんともおそまつで中途半端なヤスクニ参拝をしたことと重なって、実に情けないことになっている両国関係に暗澹たる思いを禁じえない。
この際、手元に集めた彼の小説やらエッセイを読むつもりだが、どうしても原本も手に入れたくなって、『モノディアロゴス』の版元「行路社」に近い山中で中国関係の本を商う「古本あい古屋」に中国語版『家/春/秋 《激流三部作》』3冊(人民文学出版社)と『随想録』(生活・讀書・新知三聯書店)を注文した。もちろんこれらは、ようやく2週間後あたりに来日できるようになった息子の嫁に読んでもらうためでもある。
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※本文中の太字、朱書き、アンダーライン、マーカー等の処理はすべて、死後、息子によって為されたものです。
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