『近代文学』を創刊した七人の侍のうちの二人までが、相馬にゆかりのある作家であるというのも面白い。もっとも埴谷雄高にしても荒正人にしても、前者は戸籍のみ、後者はただ出生の地だけで(と思う)、島尾敏雄のように幼児期に土地からの深い影響を受けたわけではないが。ところで隣町鹿島の出である荒正人について今までほとんど読んだことがないことが気になりだして、何冊か彼の作品を古本屋に注文していたのが、今日はそのうちの二冊が届いた。『雪どけを越えて』(近代生活社、1957年)と『思想の流れ』(毎日新聞社、1963年)である。あと『小説家』というのが届くはずである。この機会に少し彼のものを読んでみよう。
ところでそのついでに、ローレンスの『虹』(新潮文庫、下巻)とロウリングスの『仔鹿物語』(新潮文庫、下巻)も注文した。たぶんこれからも読まないかも知れぬ本を購入するのは無駄のような気もするが、上巻だけしかないのがやけに気になりだしたのである。『仔鹿物語』など、上下揃いで買った方が安いのに、それではまた一冊が宙に浮くなどと変な仏心を出して、わざわざ下巻だけを注文するというこだわり(?)潔癖性(?)が自分ながら可笑しくなる。
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※本文中の太字、朱書き、アンダーライン、マーカー等の処理はすべて、死後、息子によって為されたものです。
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