京大有志の会・声明文

★コメント欄にあるように、私たちの友人である弁護士の上出勝さんから教えられて、京大有志の会の声明文を読みました。あまりに素晴らしいので、断りなく無断ですが、皆さんにもご紹介します。
★★只今(17日10時40分)オキナワからはびえるハビエルさんが私のたっての願いを聞いてくださり、スペイン語訳を送ってくれました。さすがハビエルさん! 谷崎『陰影礼賛』訳の締め切り間際なのに、ただただ感謝あるのみ。¡Muchísimas gracias, Javier!


戦争は、防衛を名目に始まる。
戦争は、兵器産業に富をもたらす。
戦争は、すぐに制御が効かなくなる。

戦争は、始めるよりも終えるほうが難しい。
戦争は、兵士だけでなく、老人や子どもにも災いをもたらす。
戦争は、人々の四肢だけでなく、心の中にも深い傷を負わせる。

精神は、操作の対象物ではない。
生命は、誰かの持ち駒ではない。

海は、基地に押しつぶされてはならない。
空は、戦闘機の爆音に消されてはならない。

血を流すことを貢献と考える普通の国よりは、
知を生み出すことを誇る特殊な国に生きたい。

学問は、戦争の武器ではない。
学問は、商売の道具ではない。
学問は、権力の下僕ではない。

生きる場所と考える自由を守り、創るために、
私たちはまず、思い上がった権力にくさびを打ちこまなくてはならない。

(自由と平和のための京大有志の会)

LLAMAMIENTO

La guerra empieza con el pretexto de la defensa.
La guerra es lucro para la industria armamentística.
La guerra queda pronto fuera de control.

La guerra se empieza fácil, mas es difícil terminarla.
La guerra lleva la desgracia al anciano y al niño igual que al soldado.
La guerra no solo causa graves heridas físicas: hiere también el corazón humano.

El espíritu no debe ser nunca objeto de manipulación.
La vida no es una pieza en el tablero de nadie.

El mar no debe ahogarse bajo el peso de las bases militares.
El cielo no puede sucumbir ante el estruendo de los aviones de combate.

Es preferible vivir en un país especial que se enorgullezca de promover el saber
a vivir en un país normal que solo piense en contribuir con su sangre.

El saber académico no es un arma de guerra.
El saber académico no es una herramienta de negocios.
El saber académico no es servidor del poder.

Tierra para vivir, libertad para pensar: protejámoslas, creémoslas… y para ello,
Empecemos por desbaratar la estrategia del arrogante poder.

( Campaña de la Universidad de Kioto por la Libertad y la Paz)


※これまで日本語からヘブライ語まで11ヶ国語表記でしたが、今回新たにスペイン語訳を加えてもらい合計12ヶ国語となりました。これでより一層広範囲に世界に拡散してゆくでしょう、めでたしめでたし(18日朝記)。

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佐々木 孝 について

佐々木 孝(ささき たかし、1939年8月31日 – 2018年12月20日)は、日本のスペイン思想研究者。北海道帯広市生まれ。2歳から引き揚げまでの5年間を旧満州で暮らす。1961年上智大学外国語学部イスパニア語学科在学中にイエズス会に入会。5年半の修道生活の後、1967年同会を退会、還俗する。同年上智大学文学部哲学科卒業。1971年清泉女子大学講師、助教授を経て、1982年教授となる。1984年常葉学園大学(現・常葉大学)でスペイン語学科の草創に参加。1989年東京純心女子短期大学・東京純心女子大学(現・東京純心大学)教授。その間、講師として専門のスペイン思想、スペイン語を東京外国語大学、駒澤大学、法政大学、早稲田大学など他大学でも教える。2002年、定年を前に退職、病身の妻を伴い福島県原町市(現・南相馬市)に転居。以後16年にわたり、富士貞房(ふじ・ていぼう、fuji-teivo、――スペイン語のfugitivo「逃亡者」にちなむ)の筆名で、専門のスペイン思想研究を通じて確立した人文主義者としての視点から思索をつづったブログ「モノディアロゴス(Monodialogos: ウナムーノの造語で「独対話」の意)」を死の4日前まで書き続けた。担当科目はスペイン思想、人間学、比較文化論、スペイン語など。作家の島尾敏雄は従叔父にあたる。 2018年12月20日、死去(享年79)
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京大有志の会・声明文 への4件のフィードバック

  1. 阿部修義 のコメント:

     昨年暮れの総選挙で自民公明が大勝すれば、こういう流れになるのは誰もがわかっていたんじゃないでしょうか。来月は原発も再稼働するようですし、民主政治の中では選挙で多数を取った政党主導で国の方針が決まってしまいます。次の総選挙で絶対に自民公明には入れない覚悟をどれだけ持ち続けられるか、そこが大切だと思います。ばっぱさんが、「人間はどうして死ななければならないのか」と言われていたことを思い出しました。どんなに憎い相手でも寿命が来れば死んでしまうのが人間の運命です。この世界に縁あって同時代に生きている私たちは、もっと自分のことばかりでなく他者の存在も自分と同じように考えるべきです。やられたらやり返す安保法案ではなく、やらなければならなかった側の事情とか生い立ちも深く洞察することも大切だと私は思います。

  2. 佐々木あずさ のコメント:

    今、モノディアロゴスⅫ 風景と物語の創造 を読み終えたところです。最後に出合ったのが、京大有志にの会・声明書。自衛隊が、戦地(南スーダン)に送られ、各地で紛争が勃発し、日本は相変わらず「イケイケドンドン」の政権が多数を占めています。「戦後はもう終わらせる」というようなコメントを正々堂々という政治家に、政権を握らせている現状に、時折無力感を感じてしまうのです。
    そんななか、こんな崇高な声明書に遭遇。佐々木先生の温かいつながりによって、スペイン語、ロシア語にも広がっていったと知ることができました。ちょうど、1年前の7月のことだったのですね。この事実と出会えたことに感謝しつつ、モノディアロゴるの秘めたるパワーに感服しております。

  3. 立野正裕 のコメント:

    おととい(20日)、3年生の英文学ゼミでディスカッションをおこないました。テーマは「オバマ大統領の広島訪問とスピーチをめぐって」です。先日の佐々木先生のブログをコピーさせていただいて、あらかじめ学生たちには読んで来てもらいました。十数名の小クラスですから、学生たちが意見を言いながら、たがいにだんだん白熱してゆくさまがみごとでした。授業のなかでの討論だったので時間切れとなったのが残念でしたが、終わると何人もの学生たちが、ああ、面白かった、すげぇ勉強になった、いいねぇ、人の意見を聞くのも、と目を輝かせながら言い合っていました。この討論は司会役も学生でしたから、教師は一言も発言せず、もっぱらオブザーヴァ―に徹しておりました。夏休み直前の試みでしたが、秋学期もこの討論形式のゼミを続行しようと考えています。「白熱授業」に教師は要らないのだと思いました。夏季休暇中には4年生の合宿がありますから、同じテーマで、こんどはじっくりと腰を据えて語り合うことができそうです。

  4. 立野正裕 のコメント:

    4年生の合宿にはこの京大学生有志の「声明文」も配らせていただき、議論をいちだんと掘り下げたいと考えています。

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