迷ったけれど、結局、桜の木を切ってもらうことにした。今の大きさがもうぎりぎりの大きさで、枝がすでに屋根に覆い被さっており、そのため落ち葉がトタン屋根や雨樋を腐食させ、日照をさえぎって、家屋のためにはいいこと無しというわけだ。となると今年の春が見納めだったことになる。残念だが、いたし方ない。写真を撮っていてよかった。
それはともかく、シルバーセンターから来た、先日と同じ顔ぶれの三人の見事な仕事振りよ。一人の小柄のおじさんは、大木に攀じ登って、チェーンソーを巧みに操る。こういう建物と建物のあいだの木の伐採は、野原のそれの四倍手間がかかるらしいが、なるほど、或る程度の長さの枝や幹にロープを巻いて、切り落とされたその部分を近くの窓ガラスなどにぶつからないように慎重に吊り下ろさなければならない。しかし見る間にあの太い大きな桜の木を処分してしまった。お見事!と言うしかない。おそらくは私より年上のそのおじさんたちが、実に楽しそうに、しかも迅速に仕事を片付けていくのには、ほとほと感心した。そして彼らが楽しそうに話す相馬弁の何と面白いこと! 相馬弁がこれほど可愛く聞こえたのは初めてだ。けっして乱暴ではない。柔らかで、無邪気で、しかも上品、と言えないまでも下品ではない。
幸い、それほど暑くなく、風も少しあり、仕事をするには絶好の日和だった。明日は土曜、たぶん明日で、大工さんの仕事も、シルバーのおじさんたちの剪定の仕事もすべて終わるはずである。桜の木を切り落とした際、二階のトタン屋根の部分が腐食していて、早急に替えたほうがいい、と忠告された。この際だから、その部分も瓦にし、屋根全体の瓦も一気に替えることにしよう。いくらかかるか見積もりを出してもらうことにしたが、どちらにしてももうとっくに寿命がきていた瓦だ。思い切ろう。
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※本文中の太字、朱書き、アンダーライン、マーカー等の処理はすべて、死後、息子によって為されたものです。
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