「自転車こぐとタイヤに空気」というニュースが今日の「朝日」に載っていた。「新技術の《エアーハブ》は、車輪の回転エネルギーを、車輪の中心にある《ハブ》の内部で、空気ポンプのピストンの往復運動に転換。圧縮空気を小さな専用ホースでチューブに送り、不要な空気は特殊な空気孔で抜いて、標準的な空気圧に保つ」仕掛けという。
 考えてみるとそれほど複雑な仕掛けでもなく、今まで誰も実用化を図らなかったことの方が不思議なくらいだ。たぶん今までは、自動車など「より快適なもの」「よりめざましいもの」の方にばかり気が廻って、すでにある「なんでもないもの」に関心が向かわなかったということだろうか。中国製など、より安価な商品との差別化追求から生まれた新技術らしいが、原材料の不足や人件費などのことを考えると、このような差別化がさらに進められることは間違いない。しんどい話ではある。
 しかしいろいろ考えさせられるニュースである。つまりことは単に「もの」だけではなく、たとえば人間関係や家族のあり方、延いては社会のあり方まで応用可能なヒントとなりうるのではないか。私たちが日ごろ、すでに「そこにあるもの」として、何の工夫もしないで馴れ合っているものも、ぜんぜん別の角度から、まったく新しい意味付けをすることができるのではないか、ということである。ちょっと飛躍し過ぎかな。

※昨21日、K市から見えられたI氏ご夫妻、私たち夫婦、そして若い二人が近くの中華料理店でお昼に食べたメニュー、思い出のために記録しておく。
前菜、エビのチリソース、ホタテとイカのXO醤炒め、エビ団子と鴨の揚げ物盛り合わせ、里芋と牛肉の煮込み、ワタリガニとブロッコリーのミルク炒め、中華風茶碗蒸フカヒレあんかけ、ハスの葉包みおこわ、デザート、以上九品。私自身は味わうまでの余裕はなかったが、みんなの話だとなかなかの味だったとか。

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佐々木 孝 について

佐々木 孝(ささき たかし、1939年8月31日 – 2018年12月20日)は、日本のスペイン思想研究者。北海道帯広市生まれ。2歳から引き揚げまでの5年間を旧満州で暮らす。1961年上智大学外国語学部イスパニア語学科在学中にイエズス会に入会。5年半の修道生活の後、1967年同会を退会、還俗する。同年上智大学文学部哲学科卒業。1971年清泉女子大学講師、助教授を経て、1982年教授となる。1984年常葉学園大学(現・常葉大学)でスペイン語学科の草創に参加。1989年東京純心女子短期大学・東京純心女子大学(現・東京純心大学)教授。その間、講師として専門のスペイン思想、スペイン語を東京外国語大学、駒澤大学、法政大学、早稲田大学などの大学でも教える。2002年、定年を前に退職、病身の妻を伴い福島県原町市(現・南相馬市)に転居。以後16年にわたり、富士貞房(ふじ・ていぼう、fuji-teivo、――スペイン語のfugitivo「逃亡者」にちなむ)の筆名で、専門のスペイン思想研究を通じて確立した人文主義者としての視点から思索をつづったブログ「モノディアロゴス(Monodialogos: ウナムーノの造語で「独対話」の意)」を死の4日前まで書き続けた。担当科目はスペイン思想、人間学、比較文化論、スペイン語など。作家の島尾敏雄は従叔父にあたる。 2018年12月20日、宮城県立がんセンターで死去(享年79)。
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