食物腐敗に関する見解の相違

今日の昼食時、食物の腐敗に関する見識の相違が、バッパさんとの醜い争いに発展。簡単に言えば、賞味期限を六日も過ぎた「筋子」を捨てたことに逆上したバッパさんに、返すまで梃子でも動かないと一時、二階居間を占拠され、大いに困惑したのだ。石巻といわきにそれぞれ住む兄と姉に電話で助けを求めたが、受話器を渡してもバッパさん出ることをかたくなに拒否。実は二時から小高浮舟で文学講座があるので、それまで何とか下に降りてもらわないと、留守中クッキーに乱暴でもされたら(まさか!)と心配したのだが……、ともかく筋子は下の芥箱に捨てたと言って何とか降りてもらったのだが(筋子は大きな冷蔵庫の上に隠した)。
 そんなこんなでアタフタ出かけたおかげで、眼鏡を忘れてしまった。バッパさんとの攻防で疲れたことと、用意した資料がはっきり読めないことが重なって、途中しどろもどろの講義になりかけたが、なんとか踏ん張って最後はうまくまとめた(?)。でも今日はふだんより大いにチカレた。
 ところで例のボリビアの会社からは、十ヵ月は待てないので送金をやり直してくれないか、ボリビアでは大金なのでヨロシクとのメールあり。なんだと、おとなしく出ればふざけやがって、ざけんじゃねーよ、年金生活者のこちとらにしたって大金だーい。アメリカの公的調査結果でもちゃんと配達済みなのであって、問題はそちらの会社内部にあるんじゃない?第一、送金されたとき代理人は休暇中だったって?そんなことこちらとなんの関係もありましぇーん。
 こうした事故の場合、守られるのは顧客であって会社じゃないはず。送金記録も配達記録も明確に残っているのだから、責任があるのは私でもなければ、日本やアメリカの郵便局ですらなく、ひとえに受取人側にあるんじゃない?再発行は為替の有効期限が切れた時点以後になるのは、私みたいな素人でもこれ分かることあるよ。
 ボリビアが貧しい国だからなんて泣き言を、プロの商売人が言っちゃーいけません。
てなことを、明日あたりスペイン語で書いてメールしなければ……だからバッパさん、腐りかけた筋子なんぞのことで騒ぎ起さないでくれるかなーほんとチカレるよ。

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佐々木 孝 について

佐々木 孝(ささき たかし、1939年8月31日 – 2018年12月20日)は、日本のスペイン思想研究者。北海道帯広市生まれ。2歳から引き揚げまでの5年間を旧満州で暮らす。1961年上智大学外国語学部イスパニア語学科在学中にイエズス会に入会。5年半の修道生活の後、1967年同会を退会、還俗する。同年上智大学文学部哲学科卒業。1971年清泉女子大学講師、助教授を経て、1982年教授となる。1984年常葉学園大学(現・常葉大学)でスペイン語学科の草創に参加。1989年東京純心女子短期大学・東京純心女子大学(現・東京純心大学)教授。その間、講師として専門のスペイン思想、スペイン語を東京外国語大学、駒澤大学、法政大学、早稲田大学など他大学でも教える。2002年、定年を前に退職、病身の妻を伴い福島県原町市(現・南相馬市)に転居。以後16年にわたり、富士貞房(ふじ・ていぼう、fuji-teivo、――スペイン語のfugitivo「逃亡者」にちなむ)の筆名で、専門のスペイン思想研究を通じて確立した人文主義者としての視点から思索をつづったブログ「モノディアロゴス(Monodialogos: ウナムーノの造語で「独対話」の意)」を死の4日前まで書き続けた。担当科目はスペイン思想、人間学、比較文化論、スペイン語など。作家の島尾敏雄は従叔父にあたる。 2018年12月20日、死去(享年79)
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