京大有志の会・声明書のロシア語版について

「京大有志の会・声明書」は現在、「こども語」からエスペラントまで実に20ヶ国語に翻訳されて世界中に拡散している。一方、当の安保法案、正確には戦争法案の審議が始まったようだが、大半の国民の反対にもかかわらず、鉄面皮の安倍首相以下、内面に不安と動揺を隠してであろうが、相変わらず臆面もなく持説を主張している。安倍首相のテレビ出演でパネルを使っての「たとえ話」はまさに噴飯もの、彼がどれだけ幼稚な頭脳の持ち主か一目瞭然。例えば戦争を火事に喩えたようだが、火事は消し止めることが出来る。しかし戦争における相手側の猛反撃は火の勢いとは比較にならないし、たとえ一時「消火」したとしても思わぬところに飛び火するだけでなく、相手側に末代にも及ぶ深い怨恨を残し、さらに将来、戦火が拡大することはイラク戦争やアフガン戦争の経緯を見るまでもない。
 とにかく、いませっかく国民のあいだだけでなく世界中に広まりつつある「安保法案」阻止のうねりを一刻も早くさらに加速させなければならない。実はスペイン語版での「貢献」に勇気をもらって、ロシア語版のためにも奔走し(といって走りまわったわけではありませんが)、幸いに或る友人並びにその友人のネイティブによる献身的なご助力を得てそれが先日完成し、先日会に届けたのだが、しかし有志の会では既に別ルートで翻訳を依頼していたということで、二日後に出た公式サイトには私たちが用意したものとは違うロシア語版が掲載された。
 しかしこの声明書は、公式サイトでも断っているように、「いうまでもなく著作権フリー」のもの、したがって原著者名を明示し、かつ正確な訳であれば「自由訳」も許されるはずであろう、とりわけ声明書の趣旨・精神に全面的に沿ったものであるならば。つまりある意味で、京大有志の会という「私的」なものから大きく羽ばたいて、いわば「公的(パブリック)」なものへと成長したのだから。
 しかしその友人ならびに実際に翻訳してくださった方に思わぬご迷惑がかかることを懼れて、この際私個人の全責任の元に、そして事前に双方、つまりその友人たちと有志の会の許可を得ることなく、この貧しいサイトに別バージョンのロシア語訳を公表させていただこうと思う。もしロシア語圏に友人のある方は、どうぞご自由に「拡散」させてください、宜しく。

Манифест

Война начинается под девизом самозащиты.
Война является источником выгоды для производителей оружия.
Война становится неконтролируемой сразу же после её начала.

Войну легко развязать, но трудно остановить.
Война причиняет страдания не только военным, но и старикам и детям.
Война ранит не только физически, но и проникает глубоко в душу.

Человеческий дух не создан для манипуляции.
Человеческая жизнь не может быть игрушкой в чьих-то руках.

Море не должно быть пристанищем для военных баз.
Небо не должно разражаться раскатами грохотов истребителей.

Мы хотим жить в особенной стране, которая гордится своим свободомыслием,
а не в обычной стране, которая привносит вклад в развитие военного дела.

Учение не является орудием войны.
Учение не является орудием бизнеса.
Учение не является орудием власти.

Для того чтобы создать и защитить пространство для жизни и свободу мысли, мы, в первую очередь, должны принять решительные меры в отношении самонадеянной власти.

Акция за Мир и Свободу, Киотский Университет

※八月四日の追記
 私自身はロシア語はまるで分からないが、ロシア語の分かる友人の話だと「有志の会」のロシア語訳には11行目と12行目に出てくる「普通の」と「特殊な」という非常に重要なキーワードがなぜか省略されているそうだ。ちなみにハビエル訳のスペイン語にはその二つの言葉がイタリックになっていることにご注意願いたい。さすがハビエル!(ただし有志の会の表記にはそれが反映されてません、残念!)   (本日以降に印刷・製本される第三版にこの「追記」を加えました。第一版、第二版お持ちの方、もしご面倒でなければ上記の「追記」を手書きで加えてください。すみませんが宜しく。)

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佐々木 孝 について

佐々木 孝(ささき たかし、1939年8月31日 – 2018年12月20日)は、日本のスペイン思想研究者。北海道帯広市生まれ。2歳から引き揚げまでの5年間を旧満州で暮らす。1961年上智大学外国語学部イスパニア語学科在学中にイエズス会に入会。5年半の修道生活の後、1967年同会を退会、還俗する。同年上智大学文学部哲学科卒業。1971年清泉女子大学講師、助教授を経て、1982年教授となる。1984年常葉学園大学(現・常葉大学)でスペイン語学科の草創に参加。1989年東京純心女子短期大学・東京純心女子大学(現・東京純心大学)教授。その間、講師として専門のスペイン思想、スペイン語を東京外国語大学、駒澤大学、法政大学、早稲田大学などの大学でも教える。2002年、定年を前に退職、病身の妻を伴い福島県原町市(現・南相馬市)に転居。以後16年にわたり、富士貞房(ふじ・ていぼう、fuji-teivo、――スペイン語のfugitivo「逃亡者」にちなむ)の筆名で、専門のスペイン思想研究を通じて確立した人文主義者としての視点から思索をつづったブログ「モノディアロゴス(Monodialogos: ウナムーノの造語で「独対話」の意)」を死の4日前まで書き続けた。担当科目はスペイン思想、人間学、比較文化論、スペイン語など。作家の島尾敏雄は従叔父にあたる。 2018年12月20日、宮城県立がんセンターで死去(享年79)。
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