23. 『青銅時代』第三十四号「編集後記」(抜粋)

 

『青銅時代』第三十四号「編集後記」(抜粋)

 

それならなぜ書くのか。あるいは書こうとしているのか。与えられたスペースが残り少ないので、大急ぎで言い切ってしまうと、かつてこのような人間が生きていたという痕跡をなんとか残すため、と少し気取って答えておこう。たとえそれが牢獄の壁に刻まれた文字のように稚拙でひとりよがりの、そして滑稽なものであっても、それなりに真剣に。もしかして永遠の生命などというものはなく、人の記憶と想起の中に辛うじて生き続けられるとしたら、なおさら真剣に。中世の作家たちが時おり文章の最後に書いたラテン語 dixi のように、「さあ俺は言ったぞ、書いたぞ。もう取り消すことはできまい」とだめを押しながら。