貞房の銀幕デビュー(?)

たった今、松竹撮影所の山口氏から以下のようなメールが届きました。この酷暑の中、というより記憶力減退のためすっかり忘れてましたが、そういえば以前〈それもいつだったか記憶が飛んでいます)氏から現在撮影中の映画のワンシーンに主人公の幼児時の写真としてホームページ「家族アルバム」に掲載の、私の生後50日の写真(ギョロ目で写ってます)を使わせてもらえないかとの連絡を受け、もちろん快諾しました。
 ということは、私は阿南惟幾陸軍大臣(役所広司演)の赤ちゃん時代を演じる(?)、なんと嬉しいこと! しかも映画そのものがこのいよいよおかしくなってきた日本に活を入れる映像作品らしいので、光栄至極の喜びです。私自身はご存知の通り劇場に足を運ぶことはかないませんが、代わりにどうぞ皆様ぜひご覧になってください。私めの出演(?)はたぶん僅か数秒のことと思いますので、どうぞお目を凝らしてご観覧くださいますように。8月17日朝、記す。


佐々木 様

平素は大変お世話になっております。
以前、映画での使用の件で、ご連絡をさせて頂きました山口将幸です。
その後のご連絡が遅くなりまして申訳ありません。
使用させて頂きました映画をご報告させて頂きます。

今月8日より、松竹系で全国公開されております、
映画『日本のいちばん長い日』の劇中で使用させて頂きました。
http://nihon-ichi.jp/

冒頭付近にあります、阿南惟幾陸軍大臣(役所広司演)の私邸居間に、
ご兄弟三人で撮影されました写真が登場致します。
終戦70周年という節目の映画として、映画に充分なリアリティを持たせています。
大変貴重な資料を、ありがとうございました。

尚、映画エンドロールには、『資料提供』という形で佐々木 様のお名前を記載させて頂きました。
本来ならば公開前にご報告すべき所ではありますが、私事によりご報告が遅れました事お詫び致します。

この度は、本当にありがとうございました。


                     山口将幸

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佐々木 孝 について

佐々木 孝(ささき たかし、1939年8月31日 – 2018年12月20日)は、日本のスペイン思想研究者。北海道帯広市生まれ。2歳から引き揚げまでの5年間を旧満州で暮らす。1961年上智大学外国語学部イスパニア語学科在学中にイエズス会に入会。5年半の修道生活の後、1967年同会を退会、還俗する。同年上智大学文学部哲学科卒業。1971年清泉女子大学講師、助教授を経て、1982年教授となる。1984年常葉学園大学(現・常葉大学)でスペイン語学科の草創に参加。1989年東京純心女子短期大学・東京純心女子大学(現・東京純心大学)教授。その間、講師として専門のスペイン思想、スペイン語を東京外国語大学、駒澤大学、法政大学、早稲田大学など他大学でも教える。2002年、定年を前に退職、病身の妻を伴い福島県原町市(現・南相馬市)に転居。以後16年にわたり、富士貞房(ふじ・ていぼう、fuji-teivo、――スペイン語のfugitivo「逃亡者」にちなむ)の筆名で、専門のスペイン思想研究を通じて確立した人文主義者としての視点から思索をつづったブログ「モノディアロゴス(Monodialogos: ウナムーノの造語で「独対話」の意)」を死の4日前まで書き続けた。担当科目はスペイン思想、人間学、比較文化論、スペイン語など。作家の島尾敏雄は従叔父にあたる。 2018年12月20日、死去(享年79)
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貞房の銀幕デビュー(?) への3件のフィードバック

  1. 上出勝 のコメント:

    佐々木先生

    昨日『日本のいちばん長い日』観て来ました。
    確かに阿南家の家族写真が出て来ますが、あの赤ちゃんが佐々木先生だとは!

    映画自体もなかなか良かったですよ。
    特に鈴木貫太郎役の山崎努さんが飄々として、実際もこういう人物だったのではないかと思わせます。
    組閣の大命を受けた後、鈴木の口から「鉛玉、金の玉をば通しかね」が出ます。2.26事件の時睾丸も撃たれ、弾丸の摘出手術をした医者が詠んだ戯れ句らしいのですが、「だからなんとかなるべえ」と言う感じでしょうか。
    しかし、この鈴木の不屈の捨て身の精神や腹芸と阿南の大芝居がなかったらあの時日本は滅亡していたのではないか、少なくとももっともっと被害が出ていたろうと思います。確実に第3、第4の原爆投下はあったと思います。

    ほぼ満席で若い人もいっぱいいました。カップルで来ていた隣の若い女性はずっと身を乗り出すような姿勢で最後まで真剣に観ていましたよ。

  2. 阿部修義 のコメント:

     先生のお写真を拝見し、文章を拝読して、なぜか「Tantum Ergo」(モノディアロゴスの表題にもあります)を聴きたくなりユーチューブで何回か鑑賞しました。物情騒然とした大衆社会(時代)の中で、その奏でるものの中に「静謐」という言葉が頭を過りました。

     今年の夏は厳しい猛暑でしたが、やっとここにきて秋虫の鳴き声を耳にします。しかし、まだまだ残暑は厳しそうです。先生、美子奥様、読者の皆様のご健康をお祈り申し上げます。

  3. アバター画像 fuji-teivo のコメント:

    上出さん、阿部さん、そして澤井さん、お暑いところ嬉しいコメントありがとうございます。例の映画出演(?)についてですが、阿南陸軍大臣役は岡本作品では三船敏郎が演じていたようですね。両作品ともまだ観てませんが、ちょっと調べてみると大臣は終戦決定の御前会議の後、切腹したそうですね。もちろん私としては赤子役を演じて(?)いるだけで、阿南大臣の思想や生き方そのものをすべて肯定してるわけではありません。たとえ演じる対象が石川五右衛門(古っ!)であっても精一杯演じる(?)つもりでしたが。
     半藤一利の原作は読んでませんが、彼の『あの戦争と日本人』(文藝春秋)を読むと阿南は最後のサムライという感じがします。切腹を礼賛するつもりは毛頭ありませんが、しかしその覚悟については評価します。原発事故に責任ある人たちのあまりにも無責任な態度を考えると、せめて阿南の爪の垢ほどの責任感と潔さを見習って欲しいと思います。
     ところで澤田さんのブログ、最近装いも新たにしたようですので、皆さんも一度訪ねてみてください。クリックすればすぐアクセスできる方法を知りませんので、そのアドレスだけ書いておきます。http://sawai-3599.jugem.jp/

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