初めての怖さ

今日の午後、初めて暑さを怖いと感じた。ネットで調べた限りでは、原町は最高気温32度であったが、昨日も今日も、少なくともわが家の二階で感じた体感温度は36度超えている。午後2時過ぎ、どうにも我慢ができなくなって、廊下を隔ててすぐの八畳の間に美子と一緒に逃げ込んだ。幸い、先日、川口の娘一家のために、エアコンを直してもらっていたのが幸いした。
 もしその部屋のエアコンが壊れていたら、どうなっただろう。外に涼を求めることもできないから、車に逃げ込んだろうか。まさか自分たちが熱中症になるとは思わなかったが、しかし初めて暑さを怖いと思った。暑さに対してこんな恐怖心を抱いたのは、人生初めての体験である。
 夕方近くになってようやく暑さも少し和らいだので、また自分たちの居室に戻った。健気に涼風を送ってくれる小さなクーラーの効果を出すために、今まで使っていた扇風機をクーラーの横において、そのわずかな涼風が居間まで届くように工夫した。代わりに居間には隣の部屋から古い扇風機を運んできた。重い旧式の扇風機だが、風の量はずっと多いように感じられる。
 天気予報を見てみると、ここ一週間はまだ暑さが続くようだ。明日も午後は隣の部屋に避難しなければならないのだろうか。思わず愚痴っぽくなってしまったが、クーラーもなく、風通しも悪く、おまけに西日が強く当たるアパートなどに住む老人たちは、どうやってこの暑さに耐えているのだろう。今日の午後私が感じた恐怖を、四六時中感じているとしたら…どうかこの暑さが一日も早く遠のいてくれますように!

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佐々木 孝 について

佐々木 孝(ささき たかし、1939年8月31日 – 2018年12月20日)は、日本のスペイン思想研究者。北海道帯広市生まれ。2歳から引き揚げまでの5年間を旧満州で暮らす。1961年上智大学外国語学部イスパニア語学科在学中にイエズス会に入会。5年半の修道生活の後、1967年同会を退会、還俗する。同年上智大学文学部哲学科卒業。1971年清泉女子大学講師、助教授を経て、1982年教授となる。1984年常葉学園大学(現・常葉大学)でスペイン語学科の草創に参加。1989年東京純心女子短期大学・東京純心女子大学(現・東京純心大学)教授。その間、講師として専門のスペイン思想、スペイン語を東京外国語大学、駒澤大学、法政大学、早稲田大学など他大学でも教える。2002年、定年を前に退職、病身の妻を伴い福島県原町市(現・南相馬市)に転居。以後16年にわたり、富士貞房(ふじ・ていぼう、fuji-teivo、――スペイン語のfugitivo「逃亡者」にちなむ)の筆名で、専門のスペイン思想研究を通じて確立した人文主義者としての視点から思索をつづったブログ「モノディアロゴス(Monodialogos: ウナムーノの造語で「独対話」の意)」を死の4日前まで書き続けた。担当科目はスペイン思想、人間学、比較文化論、スペイン語など。作家の島尾敏雄は従叔父にあたる。 2018年12月20日、死去(享年79)
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初めての怖さ への3件のフィードバック

  1. ミチル のコメント:

    テイボー先生、こんばんは!本当に毎日毎日これでもかってくらい
    暑い日々が続いていますね。わたしたちも山に移って昼も夜も扇風機を
    かけっぱなしというのは20年来初めてです。まさに異常気象のまんなかを
    わたしたちは生きているということでしょうか。先日ニュースで中国も
    酷暑で、なんとござを持ってクーラーのきいたデパートへ行って
    階段の踊り場などで親子でお昼寝してるのですって。すごいと思ったけど
    でも、もしか日本でそんなおおらかな対応があれば風通しの悪いクーラーも
    ない狭いアパートで熱中症で亡くなる人はいなくなるでしょうね。
    まだまだ暑い日が続くそうです、先生も奥さまもどうかご自愛くださいね。

  2. 秋山 ユイコ のコメント:

    佐々木先生
    先生熱中症などと、失礼とは思いますが、冗談になりません。 どうぞバケツに水を入れられたものを傍におかれタオルを入れられ首やお体を冷やして下さい。 クーラーはもちろんつけっぱなしです。 水分も電解質のものアクエリアス、ポカリスエットを少しずつ30分おきに飲んでください。わたしは小牧でもう7月の半ばごろからずうっと35度~38度の毎日に怒りさえ
    覚えながら毎日を過ごしています。暑さは怖いです。外にも日中できるだけでません。どうぞ
    ご自愛くださいませ。

  3. アバター画像 fuji-teivo のコメント:

    ミチルさんにユイコさん、と書き出して、あれっこのお二人もちろんお互いあったこともないはずなのにどこか似ている、名前が片仮名だけでなく、性格も。そう、いいお友だちになれます。お暇のときお互いを訪問なさっては。
     それはともかく、この老夫婦のことご心配いただき、ただただありがたく思います。おかげさまで無事窮地を脱したようです。今日はだいぶ気温が下がりました。もちろん今後も油断しないで涼しい秋を待ちます。そちらはまだまだ暑さが続くはず、どうぞ体調管理に注意なさって、実りの秋をお迎えください。

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