どうでもいいこと

菅さんから、先日のチャリティー・コンサートのDVD(二枚組)が送られてきた。しかし初めDVDではなくCDと勘違いして(添えられた手紙にははっきりDVDと書かれていたにも拘らず)、CDプレイヤーにセットしても音が出ないどころか、逆回転(?)したり、あげくはストップボタンを押しても止まらず、電源を切ってやっと止まるなど大苦戦。もしかすると中央の穴がきつくて、それで作動ミスが起こるのでは、とその穴を紙ヤスリで少し大きくしたりもした。
 さては制作の過程で何らかの間違いがあったのかも知れない。すると今頃は苦情が殺到しているのでは。で、菅さんに電話してみた。送っていただいたCDのことなんだけど、と言ったとたん、先生(彼は私のことを未だにそんな風に呼ぶ)あれDVDです、と言う。あっ、そこでトンマな私もようやく気付く。そうかDVDね。やばいです、ぼけてます。
 最近というか、あの大地震以来、DVDやビデオを使ったことがない。だからすっかりその操作方法を忘れている。でもなんとか動かすことはできた。鮮明な画像、音もしっかり拾っている。初めて聞く曲もあったが、たいていは聞いたことのある名曲ぞろい。会場を埋め尽くした聴衆の前に次々と迫真の演奏が続く。
 と書き出したはいいが、実は音楽批評などやったことがないので、これ以上のコメントは無理。しかし菅さん、実に堂々とした名演奏家の風貌で会場を圧する。実は友人ながら彼の演奏姿は初めてなのだ。ビオラの川口さんとのデュエットも、ふだんからのコンビだから、素人目にも息がぴったりなのが良く分かる。いやコメントはこれで精一杯。
 話はとつぜん変わるが(いつものように)、今日の暑さはなんとしたことか。先日同様、二階は蒸し風呂状態。これじゃ熱中症になるかも知れない、と急いで今年初めて二階縁側のガラス戸につけたクーラーを作動させてみる。リモコン付きのようなハイテク(?)クーラーじゃなく、実に簡単な仕組みが幸いしたのか、相馬に越してきてから昨年の猛暑に初めて使った代物が、今年も無事私たち老夫婦を熱中症から守ってくれそうだ。やたらデジタル化した高級エアコンより、こうした質実剛健な機械は実に頼もしい。最近は時計でもカメラでも具合が悪くなったらもうお手上げ。メーカーに修理に出すと、新品と同じくらいの修理代をぼったくられる。なんとかならないかねー。
 ところで3月11日以降のブログの出版のことだが、昨日あたりからようやく始動(小さな出版社なので、それまで複数の本の出版準備で多忙を極めていたらしい)。最初に私が作った試作本は5月4日までをまとめたものだったが、以後最近までのものを加えて大急ぎで出版社に送ったところ、全部で290ページになるという。つまりこれから40ページほど削ることが当面の作業となる。私にもその剪定作業の腹案があるが、原則的には編集者の判断を尊重するつもりである。
 要するに準備が遅れたおかげで、演説(挨拶?)三部作、つまり偽校長、偽市長、偽総理のスピーチを三つとも収録できそうなのだ。本物の校長さんと市長さんに本を渡すことはできるが、どなたか菅さん(友人のスガさんじゃなくカンさん)に渡してくれないだろうか。でもそのころ、つまり八月半ば、にはまだ総理のままなんだろうか。ここまで粘ると、菅さんは脱原発の路線を敷いたことを唯一の手柄として首相の座を降りようとしているのでは、と憶測せざるをえないが、もしそうだとしたら、やり方は稚拙極まりないが、結果オーライと言ってもいいか。
 ともかくテレビに登場する政治家たちの右往左往は誠に見苦しい。菅さんの苦しまぎれの逆襲じゃないが、原発路線を営々と築き上げてきた自民党議員たちの反省のなさ、臆面のなさ、厚顔無恥のさまは見るに忍びない。もちろん民主党政治家の無能無策、支離滅裂にもあきれ果てているが。でも政治の話をすると、ただただ徒労感が募るばかりで、これ以上語る気にもならない。
 本に収録される心配(?)がなくなったとたん急にしまりがなくなったなんて言われないように、どうでもいいことをだらだら書くのは止めよう。だから今日はここまで。皆さん暑さで体調を崩されませんように。

偽市長のメッセージを書いた気になっていたが、それは願望だけで、実際には書いていなかったようだ。自分の書いたものなのに、もう記憶が怪しくなっている。

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佐々木 孝 について

佐々木 孝(ささき たかし、1939年8月31日 – 2018年12月20日)は、日本のスペイン思想研究者。北海道帯広市生まれ。2歳から引き揚げまでの5年間を旧満州で暮らす。1961年上智大学外国語学部イスパニア語学科在学中にイエズス会に入会。5年半の修道生活の後、1967年同会を退会、還俗する。同年上智大学文学部哲学科卒業。1971年清泉女子大学講師、助教授を経て、1982年教授となる。1984年常葉学園大学(現・常葉大学)でスペイン語学科の草創に参加。1989年東京純心女子短期大学・東京純心女子大学(現・東京純心大学)教授。その間、講師として専門のスペイン思想、スペイン語を東京外国語大学、駒澤大学、法政大学、早稲田大学など他大学でも教える。2002年、定年を前に退職、病身の妻を伴い福島県原町市(現・南相馬市)に転居。以後16年にわたり、富士貞房(ふじ・ていぼう、fuji-teivo、――スペイン語のfugitivo「逃亡者」にちなむ)の筆名で、専門のスペイン思想研究を通じて確立した人文主義者としての視点から思索をつづったブログ「モノディアロゴス(Monodialogos: ウナムーノの造語で「独対話」の意)」を死の4日前まで書き続けた。担当科目はスペイン思想、人間学、比較文化論、スペイン語など。作家の島尾敏雄は従叔父にあたる。 2018年12月20日、死去(享年79)
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どうでもいいこと への2件のフィードバック

  1. コロラド のコメント:

    こんにちは。以前に『福島原発の仮想現実』をお送りした者です。
    このところ、ある事情によりネットへのアクセス時間が短時間に限られておりご無沙汰しております。唯一、『メロウ倶楽部』のメロウ談話室への投稿だけを続行中。
    ここはオープンサイトなので、そこでのハンドル コロラド の投稿に注目いただき、後方(多分10ページ目くらい)に流されている記事に何らかのレス(もちろん、反対意見でも結構です)をつけていただけませんか。そうすれば、自動的に1ページ目に浮上する仕掛けになっておりますので。 勝手なお願いですが、どうぞよろしく。

  2. アバター画像 fuji-teivo のコメント:

    コロラドさん、確か橋爪さんでしたか。久し振りですね。お元気そうで何よりです。ところでご要望についてですが、申しわけないですが自分のブログを書くことで精一杯で、とても他流試合に出かける元気などありません。悪しからず。

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