「まちづくり企画課」というところからアンケート用紙が送られてきた。市町村合併についてのものである。同時に回覧板で「新市将来構想」なる小冊子が届けられた。実は今まで合併問題は他人事としてまったく考えたことが無かった。福島県の矢祭町というところが国民総背番号化(あれ正確には何ていったのでしたっけ?)に反対を表明し、合併にもなびかないというのを新聞やテレビで見て、ほほーやるじゃないか、と思っていたくらいである。
アンケートに答えなければならない日が近付いてきたので、「新市将来構想」なるものをざっと読んでみた。いいことづくめである。少子化、不況、生活圏の拡大という時代の流れの中では、合併も止むなしかな、とほとんど思いかけた。しかしいざアンケート用紙に書き込む段になって、待てよ、ちょっとおかしいな、と思い始めた。だいいち市が公金を使って宣伝する「新市構想」なるものには、これまでの話し合いの中でとうぜん表明された反対意見や危惧、合併に伴うデメリットのことなどが一切切り捨てられているのはどうしてか。これまでの過程で熱心に話し合ってきた当事者たちには自明なことでも、初めに合併ありきの説明では、一般の市民にとって公平な判断資料とは絶対に言えないはずだ。
根本的な疑問。地方自治の新しい幕開けを喧伝し、指導するのが、またもや「お上」であるというのは、どう考えたって胡散臭い。そう考えていくと、あちこちの町や村で始まっている防犯隣組みたいなものまで含めて、一見良さそうに思えるものでも、よほど警戒しないと先々とんでもないものになっていく可能性大である。イラク問題だって、もっともらしい「大義」や「危惧」に振り回されているうち、いつの間にかのっぴきならぬ事態を迎えたではないか。
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※本文中の太字、朱書き、アンダーライン、マーカー等の処理はすべて、死後、息子によって為されたものです。
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