「毎日新聞」によれば、全国の日本語学校の選抜に合格し、来年1月入学予定だった中国人就学生・留学生の9割以上が、法務省入国管理局に在留資格を不認定とされたということである。血も涙も無い、とはまさにこのことだ。福岡の事件のあと、もしかしてこういう事態が起こるのでは、と心配していたら案の定である。さすがにいろんなところから批判の声が上がっているらしいが、日中関係のみならず、広く世界との関係に確たる哲学を持たないでその場かぎりの対応しかできない日本という国のあり方が透けて見える。かつて日本の留学生がフランス人の女の子の死体を食べていたという猟奇的な事件の際、フランス政府は日本人留学生を締め出したろうか。一部分の不心得者の後ろに、多くの真剣で善意の中国人留学生がいることをけっして忘れるべきではない。
自分が彼らの立場に立たされたらどう思うか。哲学以前の、人間として当然持つべき想像力の、この驚くほどの貧しさ。こうした了見の狭い対外政策は、ギンミーチョコレート(アメリカ追随外交)の小泉に平和哲学が不在であることと表裏一体をなしている。
連日の不快なニュースにいちいち腹を立てていたら、それこそこちらの身が持たないけれど、この年の瀬になっていよいよ世の中おかしくなってきたぞ。
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※本文中の太字、朱書き、アンダーライン、マーカー等の処理はすべて、死後、息子によって為されたものです。
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