総選挙後の雑感

今までは曲がりなりにも(?)投票にはいつも美子と一緒に出かけたが、今回(から)は一人で行かねばならない。ところが今回も(は特に)、迂闊なことに直前になっても選びたい候補者も、国政を任せたい政党もないことに改めて気づいた次第。といって棄権はしたくない。仕方ない消去法で行くか。
 たぶん選挙結果は、私と同じ様なことを考えた選挙民が多かったからでは? もちろん大多数は、つまり41%の国民は、アホらしくて投票する気にもならなかったのだろう。
 だから自民党よ、維新よ、奢るなかれ! おっと、むしろ奢らせて、油断させた方がいいか。
 主張内容を細かく検討したわけではないが、私の考えに近かったのは、共産党や社民党だったが、でもねー、比例代表区投票欄にそのどちらの名前も書きませなんだ。なぜって? たとえば共産党さんですが、自ら前衛党の老舗を名乗っていたのには、ぼく笑っちゃいました。ゼンエイのシニセ? 要するに、どこかの老舗料理店が事件を起こして、そこの老女将がテレビで謝罪会見したことがありますなー、仕組みはあの料理店とほとんど変わらないところまで落ち込んでいるというのが、現在の共産党であり社民党ですわ。
 党組織とか内部序列は精緻を極めているんでしょうし、党の本部建物その他、いわゆる「箱」はそれなりに歴史を積み重ねて来たんでしょうなー。でもこれまで何度も言ってきたように、昨春の原発事故が求めていた、それこそ根底からの発想の転換、つまりこの日本という国の将来をもっとマシな方向へ持って行くための、私の言葉で言えば「奈落の底から」の、もっと言うならまさに終末論からの、発想の転換が必要であったにもかかわらず、そうした覚悟がまったく見られませんし、感じられもしませんでした。
 もしそれがあるんでしたら、党や組織や面子にこだわらずに脱原発や反憲法改悪を掲げての幅広い共闘ができたのでは? 泥縄式の「未来の党」なんていう、それこそ素性もはっきりしない新組織をも巻き込んでの闘いができたのでは? 嘉田さん(でしたっけ?)も、それは知事職も大事でしょうが、どこかの知事みたいに知事職を放り出して、なりふり構わず国政に殴りこみをかけるような「本気度」を示したら、もっと支持が集まったんとちゃいます?
 とつぜんですが、「民意」って何でしょう? 確かに総選挙で示されたものは民意かも知れません。でも選挙で示されるものが民意のすべてであったら、代表制民主主義万々歳ですね。でもそーでないんだなー。だってこれまでのこと考えても見てくださいな。民意が適切かつ効果的に選挙で示されるものなら、どうして直ぐ裏切られた、こんなはずじゃなかった、延いては今回のような戦後最大の棄権票という結果に終るなんてことあります?
 もちろん現段階で選挙制度に代わる民意表現の手段があるとは思われません。でも現在の選挙制度(小選挙区制・比例代表制)が最善のものではない、というよりも、選挙という手段そのものが最善のものではない、ということは明らかではないでしょうか。パソコンやケータイがこれだけ世に広まっている現在、それに代わるものが近い将来生まれるかも知れない。もしかすると従来型投票制度よりももっと正確な「民意」を示しうる方法が生まれる可能性があるかも知れない。
 しかし、悔しいし無念ではあるが、とりあえずは今回の選挙結果を受け入れるしかないでしょう。問題は、今回の選挙で正面切っての争点として見えなかった、しかし本当は実に危険な傾斜に道を開くこととなる、①原発推進とは行かないまでもその際限ない再稼動、②やがて九条廃棄にまで進みかねない憲法改悪、という二つの重大問題に対して、これからどう闘っていくか、である。
 九条の会という見た目は大きな組織だけでなく、このささやかなモノディアロゴスという個人ブログなど、これから待ったなしの危機感を持ってどう危険な動きを封じ込めていくか、それこそ真剣に考えていかなければならないわけである。
 皆さん、どうぞ本気になって、力を尽くして、共に闘っていきましょう!

 以上、総選挙結果を見ての、貞房の取りあえずの感想です。

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佐々木 孝 について

佐々木 孝(ささき たかし、1939年8月31日 – 2018年12月20日)は、日本のスペイン思想研究者。北海道帯広市生まれ。2歳から引き揚げまでの5年間を旧満州で暮らす。1961年上智大学外国語学部イスパニア語学科在学中にイエズス会に入会。5年半の修道生活の後、1967年同会を退会、還俗する。同年上智大学文学部哲学科卒業。1971年清泉女子大学講師、助教授を経て、1982年教授となる。1984年常葉学園大学(現・常葉大学)でスペイン語学科の草創に参加。1989年東京純心女子短期大学・東京純心女子大学(現・東京純心大学)教授。その間、講師として専門のスペイン思想、スペイン語を東京外国語大学、駒澤大学、法政大学、早稲田大学など他大学でも教える。2002年、定年を前に退職、病身の妻を伴い福島県原町市(現・南相馬市)に転居。以後16年にわたり、富士貞房(ふじ・ていぼう、fuji-teivo、――スペイン語のfugitivo「逃亡者」にちなむ)の筆名で、専門のスペイン思想研究を通じて確立した人文主義者としての視点から思索をつづったブログ「モノディアロゴス(Monodialogos: ウナムーノの造語で「独対話」の意)」を死の4日前まで書き続けた。担当科目はスペイン思想、人間学、比較文化論、スペイン語など。作家の島尾敏雄は従叔父にあたる。 2018年12月20日、死去(享年79)
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総選挙後の雑感 への1件のコメント

  1. 川島幹之 のコメント:

    本気になって、力を尽くして、共に闘っていきましょう!に同感です。
    そこでおもいだしたのが、96歳のジャーナリスト、むのたけじさんのことばです。
    「希望は絶望のど真ん中に」
    この言葉を忘れず、力を尽くしていきます。

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