この異様なまでの熱狂は何だ! ブエノス・アイレスを舞台に繰り広げられたオリンピック誘致をめぐっての馬鹿騒ぎだ。その中で日本勢の異様なまでの執心・熱気は異様である。現地に乗り込んだ猪瀬知事は、こんなパフォーマンスもしたようだ。
「IOC総会開幕を控えた9月2日、猪瀬東京都知事が現地のブエノスアイレスに到着。長旅の疲れもみせず、夕方から約3キロメートルのジョギングを行なった。コースはプエルト・マデーロと呼ばれる再開発されたウォーターフロントの遊歩道。日本から来た多くの報道陣も、ムービーやカメラで知事を撮りながら一緒に走る。この異様な光景にポルテーニョ(ブエノスアイレスっ子)は、「いったい何事だ。あれは誰だ」と興味津津の様子。走る一団の全員がアジア人なので、中国の映画スターだと思った人も多かった。」(“sportiva” からの引用)
テレビでよく放送される子供たちのあの競技、何と言うんでしたっけ?、つまり二人三脚が横20組ぐらい繋がって並んで走るあの競技、まあ子供たちの団結心を養うという趣旨は分かるが、異論や個性を認めない、というかそんなものなど育ちようもない団結力養成競技と考えるととたんに興が醒める、つまりそんな競技を眺めてる感じ。いやー空恐ろしくなる。
イスタンブールやマドリードを断然引き離しての圧倒的な「勝利」らしい。山積する国内問題を考えて最初のころは慎重論やら醒めた見方をしていたマスコミも、ここにきて歓迎ムード一色に染まってしまった。この異様なまでの熱気を眺める世界の眼を気にして言うのではないが、同じ日本人として何とも恥ずかしいとしか言い様がない。
猪瀬知事だけでなく、なんと安倍総理まで応援合戦に参加して、他国から指摘されていた汚染水問題など国を挙げて解決するから、と気炎を上げたらしい。アホかいな! いや汚染水対策にやっと本気になったこと自体、この馬鹿騒ぎの副産物として歓迎するが、しかしこちとら、事故直後から主張してたことが運動競技開催にかこつけて一気に実現するということに(実現すれば、の話だが)、逆に怒りさえ覚えるわけだ。なんならその当時の私の主張を改めて引用しましょか? まっ、探すのも面倒なので要約すると、迅速かつ効果的な事故処理のためには、東電などにまかせず(もちろん必要な人材や設備・器具、データその他をすべて出させて)国が一括して事に当たるべし、との提言である。
日本人の目線をさらに上方に向けさせるアドバルーンではなく、それこそ地道に足元を見ながらの品位ある国造りに努力しようというまともな世論が育たない国。国を挙げて戦争へと突っ走った軍国日本とまったく精神構造そのままのわが祖国よ! いったいお前はどこに向かおうとしてるのか!
ともかく上気した顔の中年男(だれのこと? わかっぺそったらこと言わないでも)を前面に押し立てて国威発揚のオンパレードなど、あゝみっともないったらありゃしない。彼を国別プレゼン(嫌―な略語だこと)の舞台に上げるくらいなら、アッカンベーの娘っこを…やめた、アホらしくなってきた。
ともかくIOCもIAEAもやたら政治色が強くなって、だんだん本来の目的から離れてきたし。あゝ、出てくるのはこの嗟嘆の叫びだけ。あゝ、これ最後の「あゝ」です、愛する日本も今やLCJになってしまったし。何それ? もち、ロリータ・コンプレックス・ジャパンのことさーね。ついにおいどんもOSIか。何それ? もち、お前そこまで言う、の略語さーね。………