どうも事態をあまく見ていたようだ。ここ数日の間に、美子も私も足首から脛にかけて虫に食われた跡が急に増えた。これはちょっと変だと朝食後あわてて居間のじゅうたんを調べてみると、蚤が跳ねている!!! 助けてくれー!!!
 先日買っていたバルサンを焚いて、美子とクッキーは別の部屋に避難。これで一安心。私は歯医者に。ところがである。昼食後、何気なく机の近くを見てみると、またもや蚤が跳ねている!!! バルサンでは死ななかったらしい。畳に刺して薬を撒くスプレーとか、とりあえず脛に吹き付ける虫除けスプレーとか、いろいろ虫退治のグッズを買ってくる。昨年夏はこんなことなかったのに、今年の異常気象で、玄関脇の樹に毛虫が大量に発生したように、蚤とダニが異常発生したのか。こんなこと今まで経験したことがなく、夜遅くまでそれこそ蚤取り眼でじゅうたんの上を調べる。まだ長い毛足の中にもぐりこんでいる奴がいるようだ。明日は朝からじゅうたんの掃除だ。
 娘が明日から五泊六日の予定で帰ってくる。なにかいい話をお土産にするから、というメールがあり、老夫婦、この話がなかったら、蚤とダニのことで発狂していたかも知れない。それにしてもいい話とは? 過剰な期待は、外れるとダメージが大きいので、あんまり期待しないようにしよう。それにしても蚤とダニ、もうかんべんしてください。

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佐々木 孝 について

佐々木 孝(ささき たかし、1939年8月31日 – 2018年12月20日)は、日本のスペイン思想研究者。北海道帯広市生まれ。2歳から引き揚げまでの5年間を旧満州で暮らす。1961年上智大学外国語学部イスパニア語学科在学中にイエズス会に入会。5年半の修道生活の後、1967年同会を退会、還俗する。同年上智大学文学部哲学科卒業。1971年清泉女子大学講師、助教授を経て、1982年教授となる。1984年常葉学園大学(現・常葉大学)でスペイン語学科の草創に参加。1989年東京純心女子短期大学・東京純心女子大学(現・東京純心大学)教授。その間、講師として専門のスペイン思想、スペイン語を東京外国語大学、駒澤大学、法政大学、早稲田大学などの大学でも教える。2002年、定年を前に退職、病身の妻を伴い福島県原町市(現・南相馬市)に転居。以後16年にわたり、富士貞房(ふじ・ていぼう、fuji-teivo、――スペイン語のfugitivo「逃亡者」にちなむ)の筆名で、専門のスペイン思想研究を通じて確立した人文主義者としての視点から思索をつづったブログ「モノディアロゴス(Monodialogos: ウナムーノの造語で「独対話」の意)」を死の4日前まで書き続けた。担当科目はスペイン思想、人間学、比較文化論、スペイン語など。作家の島尾敏雄は従叔父にあたる。 2018年12月20日、宮城県立がんセンターで死去(享年79)。
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