いつもの通り朝九時前にバッパさんをセンターに送ったあと、H歯科医院に行く。今日がとりあえず最後の診療ということになった。この町にいくつの歯科医院があるのか知らないが、友人のI夫妻から勧められてこのH歯科医院を選んで本当に良かった。これまで予約制といっても、待ち時間が三十分から一時間が普通だったけれど、この歯科医院では長くて十分、ときには予約時間前に診てもらうこともあった。そして診療時間そのものも短くて三十分、たいていは一時間たっぷりかけての診療だった。
いや、そんなことより医療技術そのものがすぐれていて(時には痛くて脂汗を流したこともあるが)、最終的な義歯の状態が実に良く、これから相当期間、このままで行けそうだ。
昨年夏から約一年間、毎週一回の歯医者さん通いだったが、それも今日で終わり、あとは12月に定期検診の意味で診てもらうだけ。なんだか残念のような気がする。
佐々木 孝 について
佐々木 孝(ささき たかし、1939年8月31日 – 2018年12月20日)は、日本のスペイン思想研究者。北海道帯広市生まれ。2歳から引き揚げまでの5年間を旧満州で暮らす。1961年上智大学外国語学部イスパニア語学科在学中にイエズス会に入会。5年半の修道生活の後、1967年同会を退会、還俗する。同年上智大学文学部哲学科卒業。1971年清泉女子大学講師、助教授を経て、1982年教授となる。1984年常葉学園大学(現・常葉大学)でスペイン語学科の草創に参加。1989年東京純心女子短期大学・東京純心女子大学(現・東京純心大学)教授。その間、講師として専門のスペイン思想、スペイン語を東京外国語大学、駒澤大学、法政大学、早稲田大学など他大学でも教える。2002年、定年を前に退職、病身の妻を伴い福島県原町市(現・南相馬市)に転居。以後16年にわたり、富士貞房(ふじ・ていぼう、fuji-teivo、――スペイン語のfugitivo「逃亡者」にちなむ)の筆名で、専門のスペイン思想研究を通じて確立した人文主義者としての視点から思索をつづったブログ「モノディアロゴス(Monodialogos: ウナムーノの造語で「独対話」の意)」を死の4日前まで書き続けた。担当科目はスペイン思想、人間学、比較文化論、スペイン語など。作家の島尾敏雄は従叔父にあたる。 2018年12月20日、死去(享年79)