夜、本当にもう久しぶりにスペイン語の本を読む。ゴメス・オルティグエラの『行間のルイス・ビーベス』という本である。読解力は退化していないと思う。しかしなんとゆっくりと字を追っていることか。ということは読解力が低下したということか。心してリハビリに努めないと、そのうち本当に頭がついていけなくなってしまうかも知れない。
 階下をもう少し整理して、日に何時間は研究室に入るような気持ちで机に向かい、読書や調べものをしなければ、と思う。先輩のI氏は今年から非常勤講師も辞めて、毎日下町の研究室と称する別マンションの部屋に通って、ここ数年来追い求めてきた研究テーマの成果をまとめておられる。おまけに彼は持病の再発を防ぐための薬を飲みながらの精進なのだから、一応は健康な身でありながらの私のテイタラクは恥ずかしいことなのだ。
 それにしてもギックリ腰は悔しい限りである。でもようやく痛みは退いてきたようだ。午後はスーパーに車で行き、妻をボディガードに仕立てて、店内用のカートをゆっくり押しながら買い物をした。お米が切れていたので、少し割高だが「ひとめぼれ」の新米10キロを買った。夕食で焼いた秋刀魚と一緒に食べたが、実に美味しかった。せっかく米どころに住んでいるのだから、ごはんくらいはケチらないで美味しいものを食べよう。

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佐々木 孝 について

佐々木 孝(ささき たかし、1939年8月31日 – 2018年12月20日)は、日本のスペイン思想研究者。北海道帯広市生まれ。2歳から引き揚げまでの5年間を旧満州で暮らす。1961年上智大学外国語学部イスパニア語学科在学中にイエズス会に入会。5年半の修道生活の後、1967年同会を退会、還俗する。同年上智大学文学部哲学科卒業。1971年清泉女子大学講師、助教授を経て、1982年教授となる。1984年常葉学園大学(現・常葉大学)でスペイン語学科の草創に参加。1989年東京純心女子短期大学・東京純心女子大学(現・東京純心大学)教授。その間、講師として専門のスペイン思想、スペイン語を東京外国語大学、駒澤大学、法政大学、早稲田大学などの大学でも教える。2002年、定年を前に退職、病身の妻を伴い福島県原町市(現・南相馬市)に転居。以後16年にわたり、富士貞房(ふじ・ていぼう、fuji-teivo、――スペイン語のfugitivo「逃亡者」にちなむ)の筆名で、専門のスペイン思想研究を通じて確立した人文主義者としての視点から思索をつづったブログ「モノディアロゴス(Monodialogos: ウナムーノの造語で「独対話」の意)」を死の4日前まで書き続けた。担当科目はスペイン思想、人間学、比較文化論、スペイン語など。作家の島尾敏雄は従叔父にあたる。 2018年12月20日、宮城県立がんセンターで死去(享年79)。
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