今日はいつもより変化のある一日だった。まず午後から小高浮舟会館の「島尾敏雄を読む会」に行った。先月はギックリ腰で休んだので、二月ぶりの読書会である。「いなかぶり」をテキストに、今日も参加者からいろいろな話が出て楽しかった。昭和十年代では、お歯黒もあったし、学校に石版や蝋石を持っていったことなど、作品に描かれたことを現実に体験した人もいて、ひとしきり昔話に花が咲いた。島尾の小説に触発されて、自分の過去を振り返るいい機会になっているようだ。
夕方からは、例の同級生三組の夫婦たちの会食だったが、今日は珍しい飛び入りがあった。八月末から町の英語塾で教えている27歳のアメリカ青年M. F君である。話を聞いてみると、日本に来る前に、チリやメキシコに滞在した経験があり、非常に癖の無いきれいなスペイン語を話すのでびっくりした。日本語があまりできないこともあって、結局私とスペイン語で話すことが多かった。テキサスはオースティンの出身で、一年間の日本滞在の後、アメリカに帰ってさらに勉強を続けたいらしい。フィアンセが故郷で待っているとも言っていた。
ともかく非常な好青年で、こんなアメリカ人青年もいるのかと思うほど純粋で真面目な若者である。たとえば平和や文化の違いについて実に深い考え方を持っている。9月11日以降の故国の動向に心痛めているようでほっとした。
また一人若い友だちができて嬉しい。
-
※本文中の太字、朱書き、アンダーライン、マーカー等の処理はすべて、死後、息子によって為されたものです。
キーワード検索
投稿アーカイブ