今回の邦人三人の人質事件について自らの責任を問われ、小泉は「私自身の問題ではない。国全体のイラク復興支援にどうかかわるかの問題だ」と答えたという。国の最高責任者にあるまじき、なんと恥ずかしい、なんといけずうずうしい答えであろう。イラク復興のために何がいちばん必要か、何がいちばん効果的か、についての議論・検討を早々に打ち切って、というよりもともとそんな気もなく、ただただ馬鹿ブッシュの尻馬に乗っかったのに、そのことの責任を一切省みないとんでもない答えなのだ。そんな首相の言葉を、いともやすやすと見逃しているこの国の言論界の底の浅さにうんざりしている。
脅しがあったから撤退というのは、確かにみっともない。しかし、人質解放になんの糸口も見つけられないまま、いたずらに「テロに屈しない」と言い続けるよりも、犯人グループに対して、むしろ怒りを込めた強力なメッセージを送るべきではないか。つまり今回の自衛隊イラク派遣が、現時点では不適切であったことを率直に認め、近い将来、全面的な撤退を視野に入れながらイラク復興を根本から考え直すつもりであること。しかしこれは決してお前たちの脅しに屈しての決断ではなく、イラク人民の幸福のために一身をかえりみず頑張ってきた三人の尊い命を何としても救いたいための苦渋の決断であり、万が一お前たちがこの真の聖戦士を傷つけたり殺めたりしたときには、日本ならびに日本人民はお前たちをいかなる手段を使ってまでも地球の果てまで追い詰め、お前たちの犯罪を全世界の善意の人たちの法廷で徹底的に裁くことをここに誓うものである。
小泉ならびに彼に同調する者たちよ、人質三人が自分の息子・娘であったらどうするか、その視点を最後の最後まで忘れずに決断しろよ。一夜にして白髪になるぐらいの土壇場にあることを忘れるな。国の最高責任者になるということは、そのくらい厳しい責務であることをゆめ忘れるでない。
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※本文中の太字、朱書き、アンダーライン、マーカー等の処理はすべて、死後、息子によって為されたものです。
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