捨てる神あれば…

先日アマゾンに注文したプリンターが届いた。実はそのちょっと前に、HPの純正カラー・インクが届いていたのだが、恐れていたとおり、今度は右つまり黒のインクに問題があります、という表示が出て、結局プリンターは作動しなかったのである。その表示を信じるなら、カラーも黒も純正製品を使いなさい、ということらしい。
 キャノンのプリンターを注文していて正解だったわけだ。さっそくセットして使ってみた。これまでのものよりひと回り大きいし、印刷時の音がかなり大きくびっくりしたが、幸い美子はぜんぜん気にしない風なので、写真や文書を印刷してみた。これまでのものに較べてなんら遜色がない。トレイに一度に百枚セットできるし、印刷スピードも少し速いくらいなので、音のことを我慢すればかえって使いやすそうだ。
 しかし大変困ることが一つあることに気づいた。つまりこの機種は詰め替えインクが使えないということだ。要するに本体価格は安く設定したので、せいぜい純正インクを使いなさい、というポリシーの機種なのだろう。さて困った。やはり私家本印刷のためにはHPをなんとか使い続けなければならないのか。純正黒インクはとりあえず一本注文するが、果たしてそれで正常に戻るかどうか。
 HPの詰め替えインクを扱っていたサンワ・サプライのカタログを見たが詰め替えインクはないようだ。それで念のため、アマゾンを調べてみると、あった!あった! アクティスという会社(?)がip2700用のインクBC-310と311用の詰め替えインクを1,880円で売っているのだ。19件のカスタマーレビューを読んでみても、なかなか評判がよろしい。純正インクの4~5倍使えるだけの詰め替えができる、という。ありがたい!
 こういうときこそ「捨てる神あれば拾う神あり」という格言が使えるであろう。詰め替えインクを作って売ることは、べつだん違法でもないし、かえっていま流行のエコになるわけだ。純正インクの胴っぱらにドリルでアナを開けてインクを注入する小さな工具まで付いているらしい。あんたは偉い! そしてかなりの回数、詰め替えを繰り替えしても印刷の質は落ちないばかりか、他社のインクを入れても問題ないらしい。
 そうだよね、機種ごとに使用インクを変え、インク・タンクも他社の製品は使えないように各社知恵を絞っているようだが、たとえばかつてビデオ・テープの規格をめぐっての争いをやめて統一規格にしたように、本来なら各社ちまちま狡賢い知恵を絞らず、統一規格にすべきなのだ。
 さっそくアクティスの詰め替え用インク(三色カラー・プラス・黒)を注文した。今日はこんな専門的(?)な話題に終始してしまったが、どなたかに役立てばいいな、と思って詳しく書いてしまった。あゝこんなつまらぬことで新年五日目も過ぎてゆく。

アバター画像

佐々木 孝 について

佐々木 孝(ささき たかし、1939年8月31日 – 2018年12月20日)は、日本のスペイン思想研究者。北海道帯広市生まれ。2歳から引き揚げまでの5年間を旧満州で暮らす。1961年上智大学外国語学部イスパニア語学科在学中にイエズス会に入会。5年半の修道生活の後、1967年同会を退会、還俗する。同年上智大学文学部哲学科卒業。1971年清泉女子大学講師、助教授を経て、1982年教授となる。1984年常葉学園大学(現・常葉大学)でスペイン語学科の草創に参加。1989年東京純心女子短期大学・東京純心女子大学(現・東京純心大学)教授。その間、講師として専門のスペイン思想、スペイン語を東京外国語大学、駒澤大学、法政大学、早稲田大学などの大学でも教える。2002年、定年を前に退職、病身の妻を伴い福島県原町市(現・南相馬市)に転居。以後16年にわたり、富士貞房(ふじ・ていぼう、fuji-teivo、――スペイン語のfugitivo「逃亡者」にちなむ)の筆名で、専門のスペイン思想研究を通じて確立した人文主義者としての視点から思索をつづったブログ「モノディアロゴス(Monodialogos: ウナムーノの造語で「独対話」の意)」を死の4日前まで書き続けた。担当科目はスペイン思想、人間学、比較文化論、スペイン語など。作家の島尾敏雄は従叔父にあたる。 2018年12月20日、宮城県立がんセンターで死去(享年79)。
カテゴリー: モノディアロゴス パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください