明日夜のETV特集

来週も今日と同じような暑さが続くらしい。少し恐怖さえ感じ始めている。エアコン設置の注文が混んでいて、月末にならないと回ってこないと言われたときは、仕方がない、来年のためにともかく付けてもらおうか、などと悠長に構えていたが、この調子だと一日でも早く付けてもらいたい。
 予想したとおり、領土問題は二進も三進も行かなくなってきた。親分アメリカも不快感を示しているという。こんなときにどこかのお偉いさんは自ら島に乗り込むと言ってるらしい。あらあらお勇ましいこと! こうなればどうぞご勝手にと言うしかないが、単細胞思考回路人間の愚かさ、いや怖さ、ここに極まれり、ですかね。
 隣りのコメント欄に書いたものだが、今のところそう言うしかない内容、つまり領土問題について今言えることはそれ以上でもそれ以下でもない内容の文章なので(と言うより、そういう文章ではあるが)、本体にも再録しておきます。

 そうです、一人一人の人間が、そしてその集団が、より安全で、より豊かに、そしてより幸福になれかしと願って案出され、工夫された仕組みたるべき国家システムが、結果的には隣人たち、時には同胞までをも争いと分裂に追い込むことになっている事態を、私たちは根底から問い直さなければ、と思います。シリアなどではいま毎日のように互いに殺しあっていますが、それも結局は既に意味を失って機能しなくなった国家システムへの盲従と盲信に起因しています。つまり領土問題と地続きの病いを抱えています。
 先日も書きましたように、現在のシステムを一気に廃棄することは無理だし、かえって混乱を招きますが、しかしすべての隣人と仲良くし、そうすることが結局は自分たち自身の幸福でもあるような、創造性と希望に満ちた新しい「くに」の在り方を、政治家だけでなく、私たち一人一人が模索し、良いと思う方法を提案していく時代が来たのだと、まずは各自信じることから始めましょう

 今日はもう一つ大事なお知らせ。明日(26日)の夜十時から一時間、NHK教育テレビでETV特集「オキナワとグアム~島が問うアジア・太平洋の未来~」が放送されます。
 これももう書いたことですが、領土問題と基地問題はまさに同じ地続きの問題です。ベルリンの壁がもうとっくの昔に崩壊したというのに、相変わらず世界いたるところで国境をはさんでの対立だけでなく、同じ国境内でも内なる国境線が人々を対立と憎悪に駆り立てています。
 「国家」とは何なのか、互いを分け隔てる「国境」とは何なのか、「くに」の在り方は従来の「国民国家」しかありえないのか、など現代に生きる私たちにとって喫緊の問題を考えるヒントが見つかるかも分かりません。ぜひご覧下さい。

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佐々木 孝 について

佐々木 孝(ささき たかし、1939年8月31日 – 2018年12月20日)は、日本のスペイン思想研究者。北海道帯広市生まれ。2歳から引き揚げまでの5年間を旧満州で暮らす。1961年上智大学外国語学部イスパニア語学科在学中にイエズス会に入会。5年半の修道生活の後、1967年同会を退会、還俗する。同年上智大学文学部哲学科卒業。1971年清泉女子大学講師、助教授を経て、1982年教授となる。1984年常葉学園大学(現・常葉大学)でスペイン語学科の草創に参加。1989年東京純心女子短期大学・東京純心女子大学(現・東京純心大学)教授。その間、講師として専門のスペイン思想、スペイン語を東京外国語大学、駒澤大学、法政大学、早稲田大学などの大学でも教える。2002年、定年を前に退職、病身の妻を伴い福島県原町市(現・南相馬市)に転居。以後16年にわたり、富士貞房(ふじ・ていぼう、fuji-teivo、――スペイン語のfugitivo「逃亡者」にちなむ)の筆名で、専門のスペイン思想研究を通じて確立した人文主義者としての視点から思索をつづったブログ「モノディアロゴス(Monodialogos: ウナムーノの造語で「独対話」の意)」を死の4日前まで書き続けた。担当科目はスペイン思想、人間学、比較文化論、スペイン語など。作家の島尾敏雄は従叔父にあたる。 2018年12月20日、宮城県立がんセンターで死去(享年79)。
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