既にご承知の方が多いとは思いますが、この際改めて我らがクラブをご紹介がてら、最新の催しについてお知らせします。
まずお断りしなければならないのは、不肖私が仮の会長となってますが、西内事務局長に丸投げもいいところ、妻の介護を理由に(それは本当ですが)毎月の「平成ふるさと講座」にも顔を出してません。申し訳ない。
ともあれ最初、平成ふるさと講座の60回(!すごいでしょ)記念特別企画のポスター、次にもうどこかでご覧になっているかも知れませんが、メディオス・クラブのマニフェストをご紹介します。
特別企画の方はもちろん無料ですので、近隣にお住まいの方はどうぞ会場までお越しください。
メディオス・クラブ・マニフェスト
- 本会の目的
本会は、私たちが住む郷土の自然の豊かさ美しさを再認識し、私たちの偉大な先達たちの業績を初めとする種々の歴史遺産を新たな視点から見直すことによって、私たちの郷土を、夢を育み希望をかなえるにふさわしい環境として次世代に譲り渡すことを目的とします。そしてそのために有効な 伝達・表現手段(語学やインターネットなど)の学習・習得を通じて、世界のさまざまな文化にも目を向け、自分たちの郷土を広く世界に開かれた独自な文化発信地とすることを目指します。
[※本会の名称メディオス(medios)とは、スペイン語で「手段・方策」と同時に広く「生活環境」を意味します。インターネットなど新時代のメディアを可能な限り駆使して、知的刺激に満ちた住みやすい生活環境を創り出したいとの願いがこめられています。] - 本会の活動
本会の目的達成のため次のような活動をします。
① 会員は個人あるいはグループ単位で南相馬の歴史や文化に関する実地検証をし、種々の情報を収集し、研究し、最終的にはそれらデータを整理し保管する。(※もちろんこれまで蓄積されてきた既存の研究成果や見解を尊重し利用することにやぶさかではないが、本会独自の視点とアプロ-チを大事にしたい。)
② ①の成果を発表したり討議したりする機会を随時設け、また外国語(当面はスペイン語)の講座やインターネットの講習会(時機を見て)、さらには集会や対外的な交流の際に花を添える演奏活動(当面はフォルクローレ)などを行なう。
※会の活動・運営に当たってはインターネットを最大限活用しなければならず、そのためメンバーの中にコンピュータの専門家もしくは熟練者が、会員の技術的進歩のため逐次協力できるよう配慮する。
③ 本会の活動の成果を定期的なメッセージや情報として発信する。将来的には、インターネットに公式サイトを立ち上げたり「会報」の発行を考えていく。
④ 本会の目的に添った、もしくは賛同する内外の個人・団体とのネットを構築する。 - 本会の組織・会員の資格
本会会員はすべて同等の権利を有し同等の義務を負うが、会の相談役としての会長、会の運営・活動を円滑に進めるための事務局、それを統括する事務局長を設ける(※事務局運営の細則は別に定める)。
会の最高意志決定は年一度行われる総会でなされる。(※総会運営の細則は別に定める)。
会員の資格は、本会が目指す目的に賛同し共に活動すること。
※理想とするのは、あらゆる世代の人たちとの幅広い連帯です。また会員は必ずしも南相馬市や相双地区居住者に限りません。なぜならその理想追求に当たって国内外のすべての善意の人たちとの協力関係を必要とするからです。 - 会費・寄付行為など
本会運営のため会員から定額の会費を徴収し、また随時有志からの寄付を受け付ける。(※会費の額ならびにその運用、すなわち予算・決算方法については今後の検討を俟つ。) - その他
個々の会員の信教・言論の自由を尊重するため、会そのものはいかなる政治団体、宗教団体、あるいは営利団体とも関係を持たず、またその宣伝や直接活動を引き受けない。
[解説]メディオス・クラブとは
メディオス・クラブも人間の集まりですから、もちろんある程度のまとまりが必要です。しかし私たちは、組織というものがどうしても持ってしまう束縛や硬直化を出来うる限り排除したい、いやむしろいよいよ自由に個性的に生きたいと願う人たちのゆるやかな連帯です。
クラブの根底にある思想はただ一つ、すなわち私たちの郷土を、ひいては「くに」と「ちきゅう」の「生」を脅かすすべてのもの、とりわけ環境破壊や戦争など、人間らしい生活を不可能にするすべてのものに「否」の姿勢を貫くことです。
また私たちが「おしきせ」のものではない真の「ふるさと創生」を考えるとき、どうしても南相馬がその一部である「東北地方」というものを意識せざるを得ませんが、その意味でわが郷土が生んだ先人たち、古くは二宮尊徳の素志を継いだ冨田高慶、さらには実業家半谷清寿(一九〇六年刊の著作『将来之東北』あり)や開拓農で思想家でもあった平田良衛などの先人たちに学ばなければなりません。
また平和の思想に関しては、現憲法の骨格を構想し起草した鈴木安蔵、名作「戦ふ兵隊」の映画監督亀井文夫の再評価がぜひとも必要です。またじっくり地元に生活しながら広く世界に目を向けた先輩としては音楽学者天野秀延、いやこの地球を越えて宇宙を凝視した羽根田利夫(一九七八年彗星発見)などから多くのヒントを得たいと思います。
ともあれ私たちが目指しているのは、私たちが住む郷土を「大切に思って見直す」ことです。新たに発見しなければならないものももちろんありますが、しかし私たちの「郷土」再構築のための材料はすでにじゅうぶん手にしていると言わなければなりません。つまり私たちがしなければならないのは、ちょうどばらばらになったジグソーパズルのピースを新たな視点から並べ直すこと、もう少し気取って言うなら、私たちの郷土を形成するすべてのものにロマンを取り戻すこと、本来持っているはずの輝きと魅力を見つけることです。
その意味で言えば、戦後文学の中核で活躍した埴谷雄高、島尾敏雄、荒正人など郷土にゆかりのある作家たちから想像力の使い方を教えてもらいたいし、現に種々の分野で「もの作り」や創作に励んでいる仲間たちの協力を得て、私たちの住む南相馬を文化の香り高い、そしてしっとりと落ち着いた住みやすい「まち」、子供たちや若者たちが誇りに思える、そして「大切を尽くす」場所にしたいと思います。※『日葡辞書』によれば、「大切」とは「愛」であり「大切を尽くす」とは「この上なく愛する」ことを意味した。
一人でも多くの賛同者、仲間が集まることを期待しています。ご連絡をお待ちしています。
仮の事務局長 西内 祥久
仮の会長 佐々木 孝
(2012/3/20)
※ なお特別企画の岩本由輝先生の講演テーマになっております新渡戸十次郎[(にとべ じゅうじろう、文政3年6月11日(1820年7月20日)- 慶応3年12 月24日(1868年1月18日)]は、江戸時代末期(幕末)の盛岡藩士。新渡戸傳の次男。 国際連盟事務次長を務めた新渡戸稲造の父です。
2012年3月20日「或るマニフェスト」に自分が書いたコメントを読み返しました。6年前と私は基本的には同じ考えです。「身を以て」を「身を持って」と書いてしまったことだけは訂正いたします。西内さん、いつもありがとうございます。
「緩やかなつながり」は、硬直しがちな組織を自由闊達にするものと痛感します。そのためには、魂の解放が大切だと思います。「モノディアロゴス」は、私にとって「思考の苗床」。メディオスクラブの存在は、この狂気の中にある日本の一条の光。そう思います。