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※本文中の太字、朱書き、アンダーライン、マーカー等の処理はすべて、死後、息子によって為されたものです。
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投稿アーカイブ
佐々木孝『情熱の哲学―ウナムーノと「生」の闘い』(法政大学出版局)
オルテガ・イ・ガセット『大衆の反逆』(岩波文庫)解説・宇野重規
オルテガ・イ・ガセット『個人と社会 ―人と人びと―』(白水社)
佐々木孝『原発禍を生きる』(論創社)
スペイン語版『原発禍を生きる』Fukushima: Vivir el desastre
中国語版『原発禍を生きる』在核電的禍水中活着
朝鮮語版『原発禍を生きる』원전의 재앙 속에서 살다
ミゲル・デ・ウナムーノ『生の悲劇的感情』(法政大学出版局)
佐々木孝『スペイン文化入門』(彩流社)
富士貞房(佐々木孝)『モノディアロゴス』(行路社)
〔オンデマンド版〕オルテガ・イ・ガセット『ドン・キホーテをめぐる思索』(未來社)
〔オンデマンド版〕ミゲル・デ・ウナムーノ『ドン・キホーテとサンチョの生涯』(法政大学出版局)
オルテガ・イ・ガセット『ヴィルヘルム・ディルタイと生の理念』(未來社)
オルテガ・イ・ガセット『哲学の起源』(法政大学出版局)
『ウナムーノ、オルテガ往復書簡』(以文社)
ビトリア『人類共通の法を求めて』(岩波書店)
ミゲル・デ・ウナムーノ『スペインの本質』(法政大学出版局)
ミゲル・デ・ウナムーノ『キリスト教の苦悶』(法政大学出版局)
R.M.ピダル『スペイン精神史序説』(法政大学出版局)
オルテガ・イ・ガセット『ガリレオをめぐって』(法政大学出版局)
『プログレッシブ スペイン語辞典』(小学館)
S・マダリアーガ『情熱の構造』(れんが書房新社)
『スペイン黄金時代』(日本放送出版協会)
『目で見る聖イグナチオ・デ・ロヨラの自叙伝』(新世社)
フリオ・カロ・バロッハ『カーニバル』(法政大学出版局)
P・ライン・エントラルゴ『スペイン一八九八年の世代』(れんが書房新社)
ルイス・メンディサーバル『新しき展望/イエズスのみ心 COR JESU』(中央出版社)
『ドン・キホーテの哲学』(講談社現代新書)
ブログで、先生がよく繰り返えし使われていたCMの文句を思い出しました。
「亭主元気で留守がいい。」
この言葉を美子奥様は本当に理解できなかったと先生はよく述懐されていました。ちょっと調べてみたら、1986年にテレビのCMで放映されていた大日本除虫菊株式会社からのものらしい。その年の流行語にもなっていたので、世間一般の家庭の主婦が賛同し、そこから広まっていったことは間違いなさそうである。
先生は、この文句を理解できない奥様のことを事あるごとに自慢されていた。この一事をみてもご夫妻がいかに仲が良かったか推察される。一事が万事である。奥様がご病気を発症されてからも、先生は実に献身的に日々の介護に徹せられた。ふと、中国由来の「久敬」という言葉を思い出しました。これはお付き合いを重ねるたびに相手に尊敬の念を感じさせる人格者のことをいうそうですが、その根底には平凡なことを非凡にできるお人柄によるものなのでしょう。先生ご夫妻は、まさに「久敬」の間柄だった、と岩本さんの記事を拝読して、ご逝去されて三か月、「久敬」の重みを改めて感じています。
阿部様、父が帰天し、愚息がモノディアロゴスの墓守となりましたが、変わらずお言葉をお寄せいただき、感謝に堪えません。「久敬」とは論語に由来する熟語であることを初めて知りました。このような恐れ多い言葉で、父を敬して下さり、感無量です。「亭主元気で留守がいい」のCMが流されたのは86年で、ちょうど静岡時代、父にとっては常葉大学に新設されたスペイン語学科の草創に心魂を傾けた時期でした。母にとりましても、まったくの新天地・静岡で夫婦の絆がさらに深まった時期だったと思います。公にはしない母の境遇を考えると、母の「“亭主元気で留守がいい”が理解できない」というのは、父に対する母の筆舌に尽くしがたい信頼と愛の深さの表れであり、父も入院前夜まで、そうした母の哀しみを思い、涙していました。