午前中、むかし勤めていたS女子大の卒業生だという初めての人から電話があった。今田先生についてであると言い、突然だが彼が六月下旬に亡くなったと言う。よく聞いてみると、彼女はS女子大のスペイン語科ではなく基文科の卒業生で、東洋大学で教える今田教授とだいぶ前から懇意にしており、彼の死をぜひ知らせたくて、同期のスペイン語科卒業生のYさんと連絡をとって私の電話番号を知ったという。それにしてもなぜ私のことを、という質問に、生前、今田教授はS女子大の話になるといつも私のことを話題にしたそうな。当時「毎日」の記者だった彼が、『ドン・キホーテの哲学』を読んで会見を申し込んでくれたときのことである。確か新田次郎の次ぎの回のインタビューであったと思う。初対面なのに意気投合して長い間話し込んだのだ。
七月に東洋大の教師紹介で見つけた彼のEメールアドレスに伝言を書いても返事が無かった謎もこれで分かった。もし生きていたら、行動家の彼が即座に返事を出さないはずがないからだ。
それにしても残念でならない。もし生きていたら、これからの互いの人生、だいぶ楽しかったはずなのに。享年六十二歳という。髭が立派だったので年上かなと思っていたが、私より二歳も下だった。ともかく惜しい人をまた亡くした。未亡人にぜひお悔やみをお伝えしたいと思う。
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※本文中の太字、朱書き、アンダーライン、マーカー等の処理はすべて、死後、息子によって為されたものです。
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