20~22本の映画の入ったファイルが36番目になった。映画の題名、とくに外国映画の題名のつけ方はそれこそ千差万別、これはと感心するものから、命名者のセンスを疑うもの、といろいろだ。No.36にある(まだ満杯ではない)映画を見てみようか。
『愛人関係』、1973年のフランス映画だが、実はまだ見ていない。紹介文によるとなにやら連続殺人事件がからんだ内容らしいが、アラン・ドロン主演ということなので、たぶん見ないと思うが、題名がなんとも気の抜けた題名なので原題を調べてみた。Les seins de glace フランス語はよくわからないので、それに内容も知らないので、まったくの当て推量だが、直訳すれば「氷の乳房」?、つまり冷たい心を持った女という意味だろうか。とするとあまりにも手抜きの命名である。
『パルプ・フィクション』、1994年のアメリカ映画。以前一度見て、小気味のいい展開で印象に残っている。暴力を扱ったら右に出る者の無いQ. タランティーノの映画。パルプの意味が冒頭の字幕で説明されているが、一般の人には分かりにくい。だが何かな、と興味を持たせる意味で、ぎりぎりセーフだろう。
『伯爵夫人』(1967年)、これも見ていないのだが、チャップリンの作としては不評だったという記憶がある。原題は「香港から来た伯爵夫人」だが、後に『上海の伯爵夫人』が登場するので、ほんとうは『香港の伯爵夫人』とでもしておいたら良かったかも。いずれにせよ「香港」を抜かしたのは別の意味で手抜きでしょう。
『欲望の法則』、いまや国際的にも「スペインの鬼才」として有名なP.アルモドバルの1987年の作品だが、原題をそのまま日本語に移している。『カラスの飼育』や『将軍たちの訓練』など、スペインの映画は西和辞典が手元にあればだれでも作れそうなものが多い。ただし『ミツバチのささやき』は、原題の El espiritu de la colmena(直訳すれば群蜂〔あるいは巣箱〕の霊)を思い切って意訳(?)しているが、ちょっと疑問が残る。
『トゥルーライズ』、これはいまやカリフォルニア州知事となったシュワルツェネッガー主演の派手なアクション映画だが、カタカナだけの題名が何を意味しているのかまったく分からない。なんだかこの手の題名が最近多すぎる。原題は True lies、これどう考えても「ほんとうの嘘」という意味でしょう。真っ赤な嘘?あるいは本当らしい嘘?真理と虚偽の弁証法的…うーん確かにむつかしい。でも同じ逃げるにしても音だけカタカナにしたトゥルーライズはないでしょう。
まっ、他人の生業にいちゃもんつけるのはやーめたっと。
おっと、書いているうちにすっかり忘れてしまうところだった。本当はなかなか感心した題名があったので、それについて書こうとしていたのだ。1995年、イギリス、フランス、そしてベルギーの合作映画『太陽と月に背いて』のことである。ランボーとヴェルレーヌというあの有名なフランスの二人の詩人の同性愛と別離、そして破滅を描いた映画らしい。ランボーを演じるのはな、なんとディカプリオ様。まだ見ていないので申し訳ないが、題名は気に入った。原題は Total eclipse、つまり皆既食なのだが、それを「太陽と月に背いて」としたのはお見事!
とバランスよく褒めたところで、今度は本当にお開き。
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※本文中の太字、朱書き、アンダーライン、マーカー等の処理はすべて、死後、息子によって為されたものです。
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