民主党代表の選挙実況をテレビで見る。どうせなら小沢が選ばれて、政局がさらに混迷の度合を深めてみたらどうだろう、と自棄(やけ)のやん八的な感想しかない。国会議員の思惑は、この混迷状態からの脱却には強いリーダーシップが必要と考えたのか小沢票が予想より多かったが、サポーターたちは圧倒的に菅票に流れ、これ以上の混迷はごめんだ、と常識的な選択をしたようだ。
なーんてあたかも政治に関心があるかのような書き方をしたが、本音を言えば、どうなろうと知ったこっちゃない、というところだ。経済のことだって、不況不況と騒ぐけれど……やめた、持ち家があって、少ないながら年金をもらってなんとか生活できる立場にいながら、他人様のことをとやかく言う資格はないだろう。…でも、今までの生き方そのものを根本から考え直すことをしないで、これまでの生活水準をなんとか維持・継続するにはどうしたらいいか、とだけ考えているなら、どこにも出口がないことだけは確かである。
このあいだテレビで、現役の大学教師が変なことを言っていた。このごろ昼食時に便所で弁当を食べる学生がいるそうだ。つまり仲間と一緒に食堂に行けないなら、むしろ一人で隠れて食べた方がいいと考える学生がいる、それもかなりの割合で、ということらしい。つまり、ともう少し詳しく説明しなければならないが、友達が一人もいない人間と見られることを病的に恐れる人間の出現である。
よこ一列に並んで辛うじて安心する人間。私が教師をしていたときにも、すでにその兆候はあった。要するに親や教師にどう思われるかより、友人にどう思われるかを死ぬほど気にする人間の出現である。これこそいじめの風土で、実はこの現象は子供たちの世界だけでなく、日本全体をすっぽり包んでいると考えるべきであろう。
だから、と先ほどの話に戻るが、不況というのも限られた職種や職場や、取引や…の連鎖の中での糞詰まりみたいなもので、視点を変えたり、方法を変えたり、あるいは別の道を考えたりすることで、なんとかなることがあるのでは、と思う。統計的な数字は知らないが、どれほどの不必要な休耕地(つまり働き手の不足からの)があり、どれほどの空家があり、どれほどの余剰農産物があり、どれほどの食品が毎日捨てられているか。
部活という言葉はすぐ漢字に転換されたが、婚活はまだらしい。「単語・用例」に登録をしようと思ったが、馬鹿らしいのでやめた。いや、言いたかったのは、部活的頑張りの愚かしさにいい加減気づくべきだということだ。吹奏楽であれ、チアリーダーであれ、タレント養成所であれ、そこに展開される死に物狂いの特訓、あるいは販売員のアクロバティックなまでの過当競争、日本人はなぜここまで滅私奉公が好きなんだろう、と不思議になる。極めつけは、いまちょっと名前が出てこないのだが、何十人かの生徒が両足を互いに隣りの子と紐でむすんで、横一線でスピードを争う競技である。苦闘あり涙ありの感動巨編にと煽り立てる番組担当者たち、そしてそれをみて感涙にむせぶ視聴者たち。
それなりの意味や面白さはあるだろうが、しかしよくよく考えてみれば馬鹿らしい、いや恐ろしい。昔一億総白痴化という言葉が流行ったことがあったが、まさに日本は手を変え品を変えてその白痴化の道を進んでいるように思えてならない。これが炎暑からの疲れのせいで、私の頭に浮かんだ真夏の夜の夢だったら嬉しいのだが。
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※本文中の太字、朱書き、アンダーライン、マーカー等の処理はすべて、死後、息子によって為されたものです。
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