結局、K叔父には『国家の品格』に私の論評を加えて送ることはしなかった。やはりまともに相手にするのが馬鹿らしくなったのである。よくもまあこんな駄作がベストセラーになっていることよ、と不思議に思った。いやベストセラーというものは、そもそもがそういうものなのであろう。つまり中身のないすかすかな文章、それでいてあたかも内容があるような思わせぶりな措辞…やめた、ベストセラー分析などそもそもが馬鹿らしい。
新たに論評を書き下ろさなかった代わりに、ここ四日間のモノディアロゴスをプリントして同封した。もちろん「とんでもなく明るい声で」などという失礼な表現は適当に言い換えて。それだけでは、あのレターパックはそれこそすかすかなので、貞房文庫には2冊ある島尾敏雄と小川国夫の対談集『夢と現実』も同封した。島尾敏雄と同じ歳の従弟であるK叔父さん、だれよりも長生きするんだから、死者たちの分まで…
週一回の風呂をやっと終えて、美子はいま寝たところ。私は久し振りに、アルコール分7パーセントの焼酎ハイボール缶を飲み終えて、あと十分でキックオフのアジア・カップ、対オーストラリア戦を待っているところ。香川が抜けたあと誰がそのあとを埋めるのか?
今日の午後とどいたJ・グリーンの『閉ざされた庭』について話そうと思っていたのだが、それはまた明日のことにしよう。それでは皆さん、お休みなさい!
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※本文中の太字、朱書き、アンダーライン、マーカー等の処理はすべて、死後、息子によって為されたものです。
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