第一声!

一週間ばかり、まるで手足をもがれたような、いや舌を抜かれたような不自由さを味わってきた。地震とあの憎っき原発事故のせいではあるが、その不自由感は、しかしそうした災害そのもののためというより、それによって引き起こされた(と思った)インターネット事故のせいである。つまり恥をさらすことになるが、インータネットそのものについての無知のため、インターネットが繋がらないのはNTTのどこかの中継所が破壊されたためと思い込んでいたのだが、実は単純な接続事故だったことが分かったのである。
 その単純なミスに気がついたのは、今日、地元出身で今は東京在住の友人■さんや、私のHPの世話をしてくれている■などとの電話の際、固定電話が繋がっているのにインターネットが繋がっていないというのはおかしいよ、との指摘を受けたからである。いそいで点検。するとハブの電源が切れていたことが判明。パソコンの初期画面(?)が映っていたことや、ハブと同じコンセントに繋がっているラジオが鳴っているので気づかなかったのだが、実はハブの電源が入っていなかったのである。おかげで一週間無駄にしてしまった。なんともお粗末な顛末なり。
 それはともかく地震・津波の被害ばかりでなく、原発から20数キロのわが南相馬市の半分は屋内退避指定の地域。幸いわが家は家屋倒壊を免れて電気も水道も通る地域ではあるが、その地域の三万ばかりの住民のうち、八割は県内の30キロ圏外の地域や、新潟など他県の避難所に自主避難してしまい(その避難は今も続いている)、いまやわが家の周囲は音もなく無人の境と化している。この現況についても、つまり私が避難より屋内退避を選んで逼塞している理由……いやいやそんなことより、この見放されかかっている町の中でこの一週間溜まりにたまった怒りや抗議、はたまた嗟嘆の声など、これから徐々に吐き出していくつもりである。覚悟めされよ!

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佐々木 孝 について

佐々木 孝(ささき たかし、1939年8月31日 – 2018年12月20日)は、日本のスペイン思想研究者。北海道帯広市生まれ。2歳から引き揚げまでの5年間を旧満州で暮らす。1961年上智大学外国語学部イスパニア語学科在学中にイエズス会に入会。5年半の修道生活の後、1967年同会を退会、還俗する。同年上智大学文学部哲学科卒業。1971年清泉女子大学講師、助教授を経て、1982年教授となる。1984年常葉学園大学(現・常葉大学)でスペイン語学科の草創に参加。1989年東京純心女子短期大学・東京純心女子大学(現・東京純心大学)教授。その間、講師として専門のスペイン思想、スペイン語を東京外国語大学、駒澤大学、法政大学、早稲田大学などの大学でも教える。2002年、定年を前に退職、病身の妻を伴い福島県原町市(現・南相馬市)に転居。以後16年にわたり、富士貞房(ふじ・ていぼう、fuji-teivo、――スペイン語のfugitivo「逃亡者」にちなむ)の筆名で、専門のスペイン思想研究を通じて確立した人文主義者としての視点から思索をつづったブログ「モノディアロゴス(Monodialogos: ウナムーノの造語で「独対話」の意)」を死の4日前まで書き続けた。担当科目はスペイン思想、人間学、比較文化論、スペイン語など。作家の島尾敏雄は従叔父にあたる。 2018年12月20日、宮城県立がんセンターで死去(享年79)。
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第一声! への7件のフィードバック

  1. ゆう のコメント:

    Sさん、管理運営ありがとうございます。
    わたくしも気が気ではなく、どうか無事でいてくださいと、ひたすら祈っております。

  2. ゆう のコメント:

    先生ご一家、皆さん自宅でご無事だそうです!
    3月10日「無用の心配」のコメント欄に報告があります。

  3. TACO のコメント:

    Sさん、管理運営お疲れ様です。
    佐々木先生の愛読者ですが、下記サイトによるとご家族共にご無事とのことで何よりです。

    http://japan.person-finder.appspot.com/view?id=japan.person-finder.appspot.com%2Fperson.2801549

  4. 大楠栄三 のコメント:

    佐々木先生,ご一家無事とのこと。ホッとしております。
    老人ホームのお母様のことが気がかりですが。
    避難中とのこと,必要な物などございましたら,遠慮なくご連絡下さい。公的輸送手段が復旧次第,お送りいたします。

  5. 杉山武子 のコメント:

    テレビで南相馬市の悲惨な映像を見て絶句……。
    このサイトでご家族皆様がご無事と分かり、やっと安心できました。
    とにかく良かった~の一言に尽きます。

  6. 古屋雄一郎(ゆう) のコメント:

    「第一声!」しかと聞き届けました。
    わたくしに何かできることがございましたら何なりとお申し付け下さい。

  7. ミチル のコメント:

    先生ご家族みなさま、ご無事でほんとうに良かったです、
    これからも大変なことが続くと思われますが
    できることがあれば何なりとお知らせくださいませ。
    モノディアロゴスはますます貴重な場所になります。
    わたしの方でもリンクさせていただいても
    よろしいでしょうか。

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